サッカー

協会の不十分な総括と、使命を忘れたメディア

2016/06/14

サッカー・ワールドカップでの日本代表の総括、あるいは監督人事というところについて、セルジオ越後氏の批判記事が出ていますね。いくつか紹介します。

 

W杯=セルジオ越後氏が辛口提言 日本敗因に文化的背景指摘 | JBpress (日本ビジネスプレス)

2018年へひどいスタートを切った | ゲキサカ

 

ワールドカップについては私も同じことを思いますし、日本スポーツが「プロの体をなしていない」という点にも触れています。どちらも日本サッカー協会の問題やメディアの責任というところに収束する記事ですが、本当に的確に日本スポーツの課題を突いていますね。

 

不十分なワールドカップ総括はファンやサポーターを馬鹿にしている

原専務理事が語ったW杯の敗因とアギーレ氏招聘の経緯 | ゲキサカ

 

上記のゲキサカの記事に詳しいですが、先日、日本サッカー協会の原博美専務理事がワールドカップでの敗因を総括しましたが、ここで敗因の一つに「コンディション調整のミス」を挙げている時点で、ファンやサポーターを馬鹿にしているんですよね。

 

確かに、画面を通してみてもコンディションは悪そうでしたし、それも勝負を決めた要素の一つではあると思います。ただ、それは主立った要因の一つではない。原専務理事もこの総括の中で触れている2013年のコンフェデレーションズカップでは、特にコンディションが悪かったということもなく、今大会と同じかそれ以上の対戦相手と真っ向勝負して負けている。コンディションが良くても同じ結果だった可能性もあるということです。

 

問題はコンディションではなく、この4年間で日本代表にはどんな変化がもたらされて、何が通じて何が通じなかったのか、Jリーグも含めてこれから日本が変わらなければならないところはどこなのか。それが分かる総括でなければならなかったはずです。技術委員長が出す総括としては内容が不十分で、これが一企業の出すレポートだとしたら世間の笑いものですね。

 

コンディション調整のミスが敗因の一つであると本気で信じるなら、ハビエル・アギーレではなくフィジカルトレーナーでも監督にして後は馬に蹴られろ、みたいな話になのですが、それを指摘するメディアもない。本当に嘆かわしい話です。

 

20140727

ハビエル・アギーレ氏の就任を報じる日本サッカー協会。ワールドカップにおける総括はあったものの、十分な検証はされぬまま。

 

適切でない協会とメディアの関係性 これからはプロとしての人材が支えるべき

セルジオ氏の「協会とメディアが組んで、ウソをついて儲けようとしている」という下りは示唆的ですね。今のメディアの収益構造だったり、協会とメディアの関係性を露にしています。癒着とまでは言いませんが、少なくとも協会とメディアの関係は適切な距離感ではありません。

 

セルジオ越後氏はよく「辛口」と評されますが、そもそもこの評価は適切なのでしょうか? セルジオ氏は至極真っ当な指摘をしているだけで、私は特に辛口だと思いません。氏が「辛口」と言われる今の環境も、少し考えた方がいいのではないかと思います。

 

以前からこのブログで書いている通り、日本サッカーはこれからよりプロになっていかなければならないと思っています。Jリーグ開幕から21年、競技をする側はプロになってきていても、結局協会がプロになれていない。現役時代にプロを経験していない、古い考えの人たちが権限を持って構えてしまっている。人を変えるところから始めるべきだと思います。

 

そしてメディアもプロにならなければならない。毎回批判しろとは思いませんが、良いものは良い、悪いものは悪いと評価できない、使命を忘れたメディアであれば必要ありませんね。

 

プロ化から20年以上経ち、日本サッカーが「世界と対等に戦う」ステージへ向かおうとしているのは間違いない。そのステージへ進むためには、今と同じようなことをしていては辿り着けない。そこを支えるのはプロとしての人材であり、厳しい目を持ったファンやサポーターであるべきではないでしょうか。

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