スポーツ

プロ化が競技繁栄の唯一の選択肢ではない

先週の金曜日に、スポーツナビでハンドボールについての記事を見かけました。これは今の日本のスポーツ界に対して示唆的というか、心に留めておかなければならないことが書いてあると思いましたので紹介します。

 

 2020年の東京五輪には「33」の競技が採用されている。そのうち7競技は球技系の団体種目だ。ハンドボールはというと、そ…

 

ハンドボールリーグについては企業チームとクラブチームが共存する形をとっていくようですが、これは一つのリーグの在り方だと思います。記事にもあるようにJリーグやBリーグはリーグ組織をつくるにあたってチームにも法人化を求めましたが、このやり方だけが「正」ではないということですね。

 

日本ハンドボールリーグ委員長の村林裕氏はFC東京の社長も歴任されてきた方ですし、その視点を持ってハンドボールを見てきたのならばそれが現実に即しているということなのでしょう。

 

今、日本のスポーツは成長曲線に乗ろうとしているところだと思います。2020年東京五輪がまず控えていますし、1990年代からJリーグが吹き込ませてきた風でスポーツ界の在り方も変わってきている。Bリーグが誕生して、次にバレーボールがプロ化の機会を伺っている。環境を整えて前進しようというのは、メジャースポーツだけでなく様々な競技に共通する考えではないでしょうか。

 

こうした風潮の中で、競技の繁栄を図るための手法としてプロ化は唯一の選択肢ではない、ということを示している訳ですね。Bリーグができる前はプロクラブと企業チームの分裂という現象が起きていましたし、バレーボールのスーパーリーグ構想も実業団チームが抵抗勢力になっている、という話もあります。こうした現状を踏まえれば、企業とプロの共存はもしかすると自然な選択なのかもしれません。

 

日本ハンドボールリーグは急速なプロ化ではなく、まずは生き残りと自立のための道を歩む。 ※写真はイメージです。

 

プロ化によって変わる部分は色々とあるでしょう。記事にあったようにリーグやクラブが決裁権をもって興行をやれば、報酬等の面で改善が見込めるかもしれません。ただ一方で、プロクラブという法人が厳しい状況に晒される部分もあります。Jリーグでも全日空という大企業が支えていたはずの横浜フリューゲルスが消滅した過去がありますし、プロ野球の楽天イーグルスが生まれた背景にも球団の合併があった。Bリーグでもこれから同じようなことがあるかもしれない。

 

そうであるならば、プロ化する前の準備としてまず競技の価値を上げる、ということも一つの道になるのではないかと思います。環境を整えるということになるとプロ化に視点が行ってしまいがちですが、そこに潜むリスクも当然勘案しなければならない。それは記事にある「ハンドボール界の生き残りと自立」には、今はそぐわないということですね。

 

スポーツ業界はこれから間違いなく成長しますし、国際大会がテレビ放映されるような競技はプロ化しているかそれに向けて動いている。ただ、それと同じようにすることだけが正解ではない。日本ハンドボールリーグの成長が、そのまま日本スポーツ成長のヒントになりそうですね。

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