問題は誤審ではなく、誤審の捉え方
2013/05/14
ちょっとタイミングが遅くなってしまいましたが、今回は下記のニュースについて採り上げたいと思います。
【浦和】興梠V弾は誤審!オフサイド試合後に認めた | スポーツ報知
タイトルからも分かる通り、リーグ側が誤審を認めたことで騒がれていますが、ことの本質は誤審云々ではないと思うんですよね。
誤解なきよう先に言っておくと、Jリーグのレベルアップのために審判員のスキル向上は絶対に必要だと思っています。リーグのレベルを上げるのは選手の努力だけでなく、チームを構成する監督・スタッフ、クラブ、それに全体をマネジメントするリーグ側すべての努力が必要なのは言うまでもありません。
だから、自分の立場としては誤審があったことに対して、審判のスキルなど議論すべきだとは思っています。
サッカーに限ったことではありませんが、スポーツにおいてミスは起こるもの。それは選手も審判も同じ。審判が人間である限り、誤審がなくなることは有り得ません。だからこそ、一球の判定がシビアに結果へ影響するテニスではライン判定システムがかなり前から導入されていますし、サッカーもゴールライン判定のテクノロジー導入を進めている。
よく言われることですが、誤審もサッカーの一つの要素だと考えなければならない。もちろん審判のスキル向上はあって然るべきですが、誤審をどう捉えるかというのは考えなければならない。
(もちろん僕も、自分が応援しているチームに対して誤審があると理不尽に感じることはありますが)
コミッショナーが誤審を認めたのは、やってはいけない行為
とはいえ、今回の問題の本質はそこじゃない。ヨーロッパのリーグなどを見ていても、主審や副審が試合後の誤審を認めることはままあります。事態をややこしくしてしまっているのは、主審や副審でなく、マッチコミッショナーが誤審を認めてしまっていること。これって、Jリーグの審判の地位を著しく下げる、最もやってはいけない行為です。
今回の騒ぎにしても、誤審を認めるなら主審なり副審なりが、どうしてそのように判定したかの経緯を説明すれば済むこと。それを、試合を管理する側が認めてしまうというのは、「審判はあてにならない」などと運営側から言ってしまっているのと同じことなんですよね。コミッショナーとしては火消しのつもりだったのかもしれませんが、逆に審判の立場を悪くしてしまっている。
「審判は裁判官ではなく、交通整理」という考え方もあります。審判が試合を“裁く”のではなく、選手と審判の信頼関係のもとに試合が運営されるという考え方です。ところが、コミッショナーによってその信頼関係にヒビが入ろうとしているのです。試合結果が変わったりということはないと思いますが、Jリーグ側から謝罪の声明でも出ようものなら、もう目も当てられません。
誤審を伝えるメディアもプロになるべき
僕の知る限りでは、コミッショナーが誤審を認めたことを問題だとしているメディアはありません。果たしてどれだけの人が、今回の事の本質に気付いているのでしょうか? Jリーグを伝えるメディアは、騒ぎの大きさを取り立てて、本質を見失ってはいないでしょうか?
これは後々書こうと思っていることですが、Jリーグが20周年を迎えるにあたって、それを伝えるメディアももっとプロにならなければならないと思っています。
もちろん本質を伝えるメディアもありますが、騒ぎに乗じて部数を伸ばそうとするのではなく、正しいメディアのあり方というのも、メディアには考えてもらいたいものです。