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Bリーグがデータで観戦体験を変えるかもしれない

最近読んだ記事の中で、Bリーグの大河正明チェアマンがインタビューに応えて「デジタルマーケティングで観戦体験を進化させる」ということを仰っています。まだ走り始めのBリーグですが、チェアマンの言葉通りにできそうな要素を持っているんですよね。

 

Bリーグはリーグ全体のデータに主導権を握り、活用できる状態にした

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この記事の中で注目したいのは、Bリーグがリーグ全体でのシステム統合を実現し、デジタルにおけるリーグのデータを管理しているというところですね。データに対して主導権を握り、それを活用できるというのは画期的なことです。

 

記事中にもありますが、データを統合して一括管理するというのは実は企業でも相当難しいことです。企業内でデータを扱う部署が複数あったり、各部署で異なるデータ解析ツールを使っていたりと、最初からデータ利用に関する設計をしておかないと統合がうまくいかないケースというのが多いんですよね。一度こうなってしまうと、契約や蓄積したデータの扱いで後の統合がどんどん難しくなってしまう。

 

また、Bリーグはリーグが直接ファンに対してチケットを販売している形式になっている。Jリーグやプロ野球ではプレイガイドがチケット販売を担っていることが大半ですが、プレイガイド経由での販売だと「どんな人が買ったか」などのデータはプレイガイドが所持することになります。リーグはチケットの購買データというものを取得できなくなってしまう。

 

個人情報にあたらない範囲でのデータ利用や、データが個人情報にあたるのか、データは誰のものなのかという議論はもちろんあるのですが、データの統合と主導権を握るという点でBリーグは既に成功している。これは物凄いアドバンテージになります。

 

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Bリーグはリーグ公式と各クラブのサイトのUIを統一し、一括でデータを管理できるようにしている。これがデジタルマーケティングのゆるぎない礎となる。

 

データの蓄積と活用で生まれる循環 観戦体験の進化は絵空事じゃない

これからアリーナのWi-Fi設備拡充などが進んでくると、次にやってくるのはスマートフォンアプリ等を活用したユーザー体験の向上です。スマートフォンを活用しての購買やプロモーションだと、インターネットに接続していることが前提になる訳ですから、ここでもリーグやクラブがデータを取得することが可能になってくる。チケットの購買データと掛け合わせていくと、リーグが関わるところでユーザーがどんな行動をとっているかが分かるようになっていきます。

 

こうしたデータを可視化していくと、どこを改善すべきかが明確になってくる。改善するとユーザーが新たな行動をとり、また新しいデータが生まれる。そのデータが再び体験を上げていく。データを利用できるとこんな循環も作り出していけるし、改善された体験によってファンの満足度やロイヤリティも上がっていく。

 

こうやってデータを蓄積するととんでもない価値が加えられていきます。Bリーグはデータの主導権を握ったことによって、そうしていける礎を既に築いた、ということになります。リーグ自体はまだ始まったばかりでデータの活用はこれからになると思いますが、活用が出来る状態になっているというのは本当に凄いことです。

 

このデータを活用してBリーグは観戦体験を向上させていき、それがプロスポーツ界の手本になっていく。冒頭に書いた「デジタルマーケティングで観戦体験を進化させる」というのも決して絵空事ではないと思います。これからどんなマーケティングをしていくのか、注目ですね。

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