スタジアムはスポーツ以外のパートナーになれる
2016/06/14
前回書いた「Jリーグのスタジアムに必要な“規模感”とは?」に反響があり、普段よりかなり多くの方々に読んでいただけています。というのが理由ではないのですが、今回もスタジアムに関することで書きたいと思います。
スタジアムがスポーツ以外のパートナーになるという考え方
Sports Job Networkに載っていたレピュコム提供の記事ですが、記事の最後の方にかかれていたことが大事な考え方だなと思いますので、引用します。
2020年東京五輪を控える日本にとって、五輪後のスタジアム活用法には参考にできる要素もあると感じる。プロスポーツチームにとって音楽系イベントは同じエンターテインメントの世界ではライバルかもしれないが、同じ空間を最新の技術により活用していくことで貴重なパートナーとなり、共存していける可能性がある。
スポーツが客を奪い合うライバルは音楽イベントだけども、そのイベントを呼び込んだりすればライバルではなくパートナーになれる、という記事ですが、正にその通りだなと。前回の“規模感”に続く要素として、スタジアムを箱物にしないためにはスポーツ以外での活用法というのも考えていい訳なんですよね。
日本のスタジアムの多くは使用目的と規模感が考慮されていないから箱物になっている、と前回は書きました。今回の話は正にその目的のところで、スタジアムは「観客を入れて競技を行う場」という考えから、「人々がスポーツをはじめとする娯楽を享受するための場所」と再定義すれば、自ずと答えが見えてくる。今の日本のスタジアムは前者の考えだけでつくられているから活用法が限られているということです。
考え方を変えるだけでスタジアムは箱物ではなくなる
まあ何も全てのスタジアムを音楽ライブ仕様に、と言いたいのでは勿論ありません。スタジアムのある地域に合った活用の仕方を考えよう、ということです。今年から使用されている吹田サッカースタジアムでは、ガンバ大阪のオフィシャルショップやミュージアムが常設されている。スタジアムを商業施設と考えるなら、ヨーロッパのスタジアムのようにレストランやバーがあってもいいですよね。
吹田スタジアムも吹田市立のため自治体の持ち物ですが、自治体の協力があればガンバ大阪の専用のようにまでできる。吹田市もそれなりのメリットを見込んでのことでしょう。今は地方創生の動きも盛んになってきていますから、自治体とクラブが協力して街興しの拠点にしてもいい。各地にはお祭りもありますし、大都市でスポーツや大型イベントの集客が見込めるなら見合った規模で収容観客数を増やすのもいい。
スタジアムを含めた経済圏をつくるべき、というようなこともだいぶ前に書いたことがありますが、今回もその発想です。スタジアムというのは人が集まる場所なのですから、公共としても民間としても人が集まるのに相応しい使い方を考えればいい。それができれば、自治体は税金がかかる箱物を持たずに済むし、スポーツクラブや商業施設としてもビジネスのチャンスが増えるというWin-Winの関係になれるはずなんですよね。
とにかく今の考え方を変えることで、スタジアムは箱物ではなくなり、スポーツ以外の様々なものを受け入れられるパートナーになれるんですよね。今はスタジアム建設と言うとプロクラブの都合と捉えられる向きもあるかもしれませんが、もっと大きな視点に立ってスタジアムを考えていい。そうやって考えられたスタジアムができるといいなと思います。