スポーツ

スタジアムでユーザー体験を考える時代になってきている

2016/06/14

最近デジタル界隈でよく聞くのが、「スマート〜」だとか「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」という言葉。生活の中にある様々なモノがインターネットにつながるご時世ですが、いよいよスタジアムもインターネットにつながっていく時代になってきています。

 

 

「ユーザー体験」の時代としてスタジアムを考えるべき

特にアメリカのスポーツでインターネットが活用されてきているのは知っていましたが、思ったよりも前に進んでいるようですね。リンクを貼った記事にあるInstagramのランキングを見て驚きましたが、ここまで来ると観光地としてはもちろんですが、スタジアムが文化施設とも肩を並べる存在であることが分かります。

 

アメリカでやっているから、ヨーロッパでやっているから、それが日本にとっても良いものとは限らないですが、これは日本のプロクラブにも参考になるのではないでしょうか。ここで考えたいのは日本のスタジアムでもInstagramやWi-Fiをすぐに導入しろと言うことではなく、スマートフォン時代の「ユーザー体験」というものを考えるべきだということです。

 

私もインターネット業界にそれなりに勤めていますが、日本にインターネットが普及し始めて約20年、今はユーザー体験を重視する方向へシフトしつつあります。それはメディアとしての質を重視したコンテンツ配信であったり、バナー広告からネイティブ広告への変化という流れに象徴されていますが、そのユーザー体験を考えるところはスポーツにもシームレスにつながってくるように思います。

 

今の時代は一般ユーザーも数多の情報に触れ、モノの善し悪しを判断する基準というのを各人が持っている。例えば従来の広告ではクリックされにくくなってきている訳です。そして判断されるモノの中には、スポーツ観戦やスタジアムに行くという行為自体も当然入ってくる。選んでもらうために必要な努力を払わなければならないということなんですよね。

 

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アメリカのスタジアムではユーザー体験の設計が進む。日本のスタジアムではどうか。

 

スポーツ観戦やスタジアムを楽しいと思わせなければならない

その意味でまず、アメリカのスポーツはユーザー体験の設計が上手くいっています。レベルの高いプレーや憧れの選手が観られることだけでスタジアムに価値が生まれていますが、観戦に関わるユーザー体験を誘発することでそれ以上の価値をファンやユーザーに感じてもらえるようになっています。スポーツへの興味・関心以外にも、スタジアムという場所そのものが楽しいところであれば、価値を感じたユーザーがリピーターにもなります。

 

インターネットやスマートフォンを利用しているのは20〜40代くらいの世代が中心になっています。こうしたユーザーに選んでもらうためには、スポーツ観戦やスタジアムを楽しそうと思ってもらわないといけない。もちろんそのスポーツが好きな人は自発的に観に来るでしょうし、長年の観戦経験を積んでいる人には「スポーツ観戦とはこうあるべき」という考え方もあるでしょう。あるいは試合が面白いかという本質の部分も、人によって感じ方は変わる。そうしたコアな部分に頼っていては、もうやっていけなくなることも明白なんですよね。

 

スタジアムへの集客はもちろん大事ですが、今それ以上に大事なのはスタジアムという空間の設計です。スタジアムで何を体験し、持ち帰ってもらうか。そしてそれを如何にプロモーションしていくか。インターネットとともにスポーツも時代が変わり、ファンを獲得するために打つべき施策も変化してきている。人を入れる“箱”としてのスタジアムという他に、ユーザー体験を生む場所としてのスタジアムを考えることが必要ですね。

 

ライト層を取り込みたいJリーグにはここに大きなヒントがあると思います。制度として見た目の大きな山場をつくるよりも、各クラブが実行していく方が効果があるかもしれませんね。

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