東京がオリンピック招致に敗れると思う理由
2013/05/19
先日から、猪瀬都知事の発言が話題になっていますね。
オリンピックの招致において他の候補都市の批判はタブーとされている中で、しかも宗教に関わる部分まで触れてしまった。もはや目も当てられないような失言です。
この他にも「(社会的な)インフラが整っていないマドリードやイスタンブールではなく、東京へ」というようなことも言っていたようで、この発言は今後尾を引いていくことでしょうね。
とはいえ、私自身、この発言が招致合戦の結果を変えることはないと思っています。できれば東京に勝ってほしいという気持ちはありつつも、この招致にも勝てないだろう、とは以前から思っていました。
マドリードとイスタンブールにあって、日本にないもの
猪瀬都知事が発言したように、日本は社会的なインフラが整っています。日本はいまだ変わらず世界トップクラスの技術先進国ですし、それは確かにマドリードやイスタンブールにはない。ただ、マドリードとイスタンブールにあって日本にないものも存在するのです。
間違いなく言えるのは、日本はスポーツ文化が未熟であること。そして国民を一つにまとめ上げることができていないこと。
2008年の大阪、2016年の東京と日本は招致合戦に敗れ続けていますが、過去2回と今とで日本の不安要素になっているものは変わっていないと思います。
スポーツ文化が未熟というのは、国や自治体がオリンピックを一過性のものと考えているということです。オリンピックのために何万人収容、アクセスがよく施設も充実、というようなスタジアムを用意する計画は立てていても、大会後にどう利用するかなんて考えてはいない。結局スタジアムもインフラも“箱物”に成り下がってしまう。
今一つ国民の支持を得られていないのも、スポーツを身近に感じることができていないからでしょう。日本において、スポーツというのは“部活”を指すことが多かった。スポーツは「そこにあるもの」ではなく、「どこか場を探して始めるもの」という意識が、日本国民の中にはあるのではないかと思っています。
そうした環境では、国や自治体がやろうとしていることに共感は生まれにくい。招致・運営側のメッセージのまずさも手伝って、関心を引くことはできても指示を得ることはできない。
熊坂仁美さんのブログでまとめられていましたが、なぜ起用するキャラクターがドラえもんなのか? オリンピックがスポーツの祭典であることを鑑みれば、世界的な知名度では劣っても、ヨーロッパのサッカー選手などに広く知られているキャプテン翼の方が適役だったと思います。
「ドラえもんが五輪誘致の特別大使」というセンスは国際的に通用するのか | 熊坂仁美.com
2020年 東京オリンピック招致委員会のメッセージが酷すぎると話題に | NAVERまとめ
誰のための、何のためのオリンピックなのか
NAVERでまとめられているのは、メッセージに対する国民の反応の一つの側面でしかないと思います。とはいえ、こうして強く反発する人たちがいるのも事実。今はメッセージが短くまとめられていますが、きちんと共感を得られるメッセージを招致・運営側から送ることができていない時点で、東京でのオリンピック開催には機が熟していない、と言えるでしょう。
オリンピックを開催(招致)するのは、何のためなのか?
日本やその開催都市が、オリンピックを通して世界に発信するメッセージは何なのか?
そうしたことをきちんと考えず、国や自治体が経済を名目にオリンピックを招致しようとする限り、日本は招致合戦に負け続けるのだと思います。