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天皇杯の元日決勝の伝統が崩れる? 日本サッカーのスケジュール見直しに期待すること

2016/06/13

あけましておめでとうございます。今年もマイペースに、自分の考えを少しずつでも発信していければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

この年末年始の時期というと、スポーツの世界の話題はサッカー天皇杯や高校サッカー、陸上で言えばニューイヤー駅伝や箱根駅伝といったところ。その中でも、天皇杯決勝に関連してアップされた記事を紹介したいと思います。

 

『元日・国立』ファイナルに相応しい戦い 天皇杯決勝 横浜FM対広島 | スポーツナビ

 

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今年7月から大改修へ入る国立競技場(※写真は上記の記事とは関係ありません)

 

元日決勝の伝統は最後? 選手にもクラブにも悩ましいスケジュール

こちらで触れられていたのが、2020年東京オリンピックへ向けた国立競技場の改修を契機に、日本サッカーのカレンダーが見直されるのではないか、ということ。実際に、2014年度の天皇杯は12月13日に日産スタジアムで決勝が行われることが決まっています。この日程は2015年1月9日にアジアカップが開幕することがあり、日本代表への配慮という側面が強い。2015年度大会は元日(2016年1月1日)決勝に戻る見通しだそうですが、1968年度大会から40年以上も続いてきた伝統は一度崩されることになります。

 

筆者も何度か触れてきていますが、天皇杯のスケジュールというのはやはり歪(いびつ)です。大会の開催時期に紐付いて起こる問題というのが、大会の権威に影響を与えているのは間違いありません。

 

Jリーグが閉幕するのが例年12月上旬。Jリーグクラブへの配慮もあるでしょうが、天皇杯が佳境へと突入するのがそのリーグ戦閉幕後です。Jリーグの開幕は1997年などの例外を除いて3月第1週で動いていない。勝ち続けるほど休養期間が短くなるという、選手にとって悩ましい一面があります。

 

さらに、Jリーグとの兼ね合いで考えなければいけないのが、この時期の選手の扱いです。世間一般で言うところの戦力外扱い(この言い方は個人的に好きではありません)になった選手たちが、大会に出る選手としてカウントされるのか、出場するにしてもどんなモチベーションで臨むのか、という問題がある。次のシーズンの所属先を探そうと思えば、この12月はクラブとの交渉に使いたい時期でもあるはずです。

 

このスケジュールは果たして、大会を戦う選手たちのためになっているのか。その選手たちを抱えるチームは、果たしてベストな状態やモチベーションで臨めているのか。日本最古のサッカーのコンペティションであり、過去にはその権威・名誉だけで参加する意義のある大会だと言えましたが、今は日本サッカーも成長・成熟してきていて、かなり事情は異なってきています。優勝した横浜F・マリノスの中村俊輔選手が「リーグ優勝の方がよかった」と試合後に語ったのも印象的でした。

 

元日決勝にこだわる理由はない 理想はリーグ戦閉幕の前後か

アジアカップもおそらく、1月〜2月の開催で固定されることになるでしょう。クラブが参加するAFCチャンピオンズリーグが3月〜11月にかけての開催であり、このシーズンがいわゆる「秋春制」に移行しない限りは、時期が重なる6月〜7月のアジアカップ開催というのは考えにくい。また、6月頃に高温多湿な地域もアジアでは多く、これが年半ばでの開催を阻む要因でもあります。そうなると、4年に一度は天皇杯決勝の開催時期というのを考慮しないといけなくなってくる、というのも可能性として濃く、元日決勝にこだわる理由はますます無くなってくる訳です。

 

おそらく理想的なのは、この2014年度大会のように、リーグ戦の閉幕前後で決勝が行われるスケジュールでしょう。この日程は、イタリアやスペインなどヨーロッパの強豪国でもよく見られるケースです。

 

このスケジュールのメリットは、リーグ戦と並行する日程で大会が進むことにより、開催時期による選手やクラブへの負担を少なくすることができることが一つ。また、リーグ戦のシーズン中に行われることによって、クラブによって休養期間に差が出るようなことがない。ある意味で公平さが増すという見方もできますし、ナビスコカップの日程と調整しなければならない面はありますが、大きなデメリットはないと言えます。

 

歴史と伝統に縛られず、選手やクラブにとって、ひいては日本サッカー界にとって、どんなスケジュールが理想なのか。この2014年度のスケジュール変更が契機になるか。昨年はJリーグの“愚行”に散々失望させられましたが、2014年からスケジュール再編への動きが出てくることを期待したいですね。

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