サッカー

差別的横断幕でJリーグが浦和を処分 考えるべきサポーター行動

2016/06/13

先週末のJ1リーグ・浦和レッズvsサガン鳥栖戦での、差別的な横断幕の件についてJリーグからの裁定が出ましたね。私も一サッカー人として記事にしたいと思います。

 

ホームゲームにおける差別的な内容の横断幕掲出に対し浦和レッズに制裁を決定 | Jリーグ

 

処分としてはけん責と無観客試合。ソーシャルでこのプレスリリースをシェアしており、そこでコメントしていますが、Jリーグ史上初の無観客試合というのも妥当な裁定ではないかと思っています。軽くはないですが、逆に重過ぎるということもないと考えています。

 

村井チェアマン「断固とした姿勢で臨む」 浦和の差別横断幕問題について | スポーツナビ

浦和社長「これを機会に生まれ変わる」 差別横断幕問題について謝罪 | スポーツナビ

 

会見の模様については上記のスポーツナビの記事が詳しいですが、今回のJリーグ(村井満チェアマン)の対応は極めて厳正で、スピーディでした。事態の解決に向けた今回の姿勢については、一定の評価がされて然るべきでしょう。それくらい、今回の判断というのは、Jリーグの歴史上でも大事な判断でした。

 

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浦和レッズへの処分により、3月23日(日)開催の浦和レッズvs清水エスパルスが無観客試合に。6万人以上を収容するさいたまスタジアム2002に、一人の観客も入らないことになる。

 

厳正な裁定を下したJリーグ 村井チェアマンの英断

FIFA(国際サッカー連盟)が2013年5月に「反人種差別・差別に関する戦い」を決議しており、人種差別に対して徹底的に戦う姿勢を見せているというのは、今回の一連の報道でよく知られることとなりました。同時に、欧州のリーグなどで過去にあった裁定なども引用され、同様に重い裁定が下されてきたことも報道されました。

 

日本的な物事の解決方法であったり、以前までのJリーグであれば、おそらく裁定委員会に今回の問題がかけられ、裁定が下るまでに長い時間がかかったことでしょう。ほとぼりが冷めた頃にその裁定が下され、しかもその内容は玉虫色で誰も納得しない。そんな風に決着する可能性も、村井チェアマンでなければかなり高かったはずです。

 

こうした問題には、例外を認めず毅然とした態度で統括組織が処分を検討する必要がある。そしてそれは当たり前にやらなければならないこと。アジア戦略を考えるJリーグであれば尚更、そうしたメッセージを発信する必要性もあったと思います。

 

Jリーグがそれをできたというのは、まず評価されていいポイントです。しかも村井チェアマンは、今回はクラブだけでなくサポーターの問題として、サポーターにメッセージを伝えるために無観客試合という処分を選んだ。下手を打てばJリーグの信用が地に墮ちるというプレッシャーもあったでしょうが、英断とも言える決断だったはずです。

 

考えなければならない、サポーター行動の影響範囲

また、今回の問題で考えなければならないのは、こうした問題を引き起こすサポーターの行動の影響範囲についてです。村井チェアマンも会見の中で触れていますが、一試合が無観客になることで、様々な影響があります。

 

試合をする両クラブのファンがスタジアムで観戦できない。観客がいないことでスタジアムや周辺でのビジネスができない。Jリーグ全体のイメージが落ちる。一部を除いた善良なファン・サポーターやクラブ関係者が、様々な迷惑を被ることになります。

 

あるサポーター(そう呼ぶのも憚られる)の愚かな行動によって、今や浦和レッズのファンは針のむしろにいるような気分でしょう。同じようなことがこれから起こる度に、浦和レッズの名前は不名誉な事実とともに引き合いに出されることになり、ファンは身じろぎをしなければならない。これが今回の問題の本質でもあります。

 

Jリーグも創設から20年以上経ち、これから成熟を迎えるリーグとなってきました。アジア進出の戦略であったり、国内マーケットでの新規顧客獲得を狙ったりという段階で、その出鼻をくじくかのように起こった今回の事件は、非常に嘆かわしいです。

 

世界に通じるサッカーというスポーツの中で、日本サッカーも世界へメッセージを発信する立場にある。成熟したリーグで発信をするのは、選手や監督だけではないはず。クラブもサポーターも、プロになっていかなくてはならない時代に来ているのだと思います。

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