サッカー

Jリーグの原点は“地域密着” メジャーリーグ式カンファレンス制の提案

2016/06/13

前回の投稿を踏まえて、「アスリートがメディアを持つこと」についてを書こうと思っていましたが、あるサッカーの記事を読んだこともあり、今回はJリーグの2ステージ制について、あらためて書こうと思います。

 

【緊急対談】2ステージ制から考える。今論ずべきJリーグの問題点とは? | フットボールチャンネル

その1 / その2 / その3 / その4

 

フットボールチャンネルにて、サッカージャーナリストの宇都宮徹壱氏が発行するメールマガジンに掲載された記事の転載がありました。全4回、非常に面白い内容でしたので、こちらでもリンクを貼って紹介させていただきます。個人的には、全体的に非常に共感する内容でした。

 

20131006

 

2ステージ制への回帰はファンへの裏切り Jリーグにとって2度目の“敗北”

まず、今回のJリーグのシーズン制度の変更は、私としても非常に残念です。過去2回記事にしていますが、残念だと思う点は以下の3つ。

 

導入経緯がブラックボックスに包まれていて、結果的にファンを裏切る形になったこと。

2ステージ制というのはJリーグが切り捨ててきた制度であり、そこに回帰すること。

Jリーグが他に解決すべき課題をすべて先送りにして、改革(制度改悪)を進めてしまっていること。

 

Jリーグが生まれて20年以上が経過し、地域密着や百年構想の理念を掲げ、少しずつでもファンの定着などの結果は出てきていた。しかし今回の騒動によって、上記の対談記事にもありましたが、ファンとの信頼関係はゼロに戻されてしまった。地域密着の象徴でもあった、各クラブのファンを裏切った今回の変節は、私はJリーグにとって歴史上2度目の敗北だと思います。1度目は言わずもがな、1998年に起こった横浜フリューゲルスの消滅です。

 

とはいえ、ここで制度改革の結果を批判ばかりしていても建設的ではありません。対談記事にもあるように、ファンの立場から何ができるかなどを考えていくことは、非常に大事だと思うのです。批判だけをしても前には進まないし、ジリ貧のJリーグがこのまま潰れていくことも望まない。ならば、ファンとしてJリーグに関わる者から、Jリーグへ提言を投げていくことも必要でしょう。

 

Jリーグへ、メジャーリーグ式カンファレンス制の提案

私から提案したいのは、Jリーグへのカンファレンス制の導入です。モデルとなるのはアメリカのMLS、および野球のメジャーリーグです。

 

Jリーグを2ないしは3の地域カンファレンスに分け、1シーズン制によるホーム&アウェイのリーグ戦を行う。地域カンファレンスを優勝したチーム、もしくは2位までのチームがプレーオフに進み、日本一を決めるためのチャンピオンシップを戦う。ナビスコカップはカンファレンスを越えた交流戦(インターリーグ)の大会へと発展させる、というものです。

 

このカンファレンス制の場合、各カンファレンスのチーム数はどうするのか、J2・J3の昇降格の扱いはどうするのか、といった課題もありますが、こうすれば現状の1シーズン制が維持でき、話題性のある“ヤマ場”ができる。そしてJリーグが考えた制度以上に自然な形で、ポストシーズンを行うことができます。

 

ここで論じたいのは、地域密着の理念です。現在のJリーグは統一された全国リーグという言い方ができますが、カンファレンス制のような形にすることによって、各クラブでも地域性に沿ったビジネス展開も考えられるようになる、という狙いがあります。

 

例えば浦和レッズと大宮アルディージャ。カンファレンス制だと自然と順位争いをすることが多くなり、同じリーグ内で様々に取り扱われるようになる。そうすると地域でのライバル意識も高まり、観客動員にも好影響が考えられる。現状ではスカイパーフェクTV!やNHKでしかない試合中継が、地方テレビ局でも多くなるかもしれない。メディアへの露出も多くなり、放映権収入も増えるかもしれません。

 

交流戦が行われるようになれば、例えば現在のJ2でガンバ大阪が起こしているような、“強豪チームのアウェイ遠征による経済効果”も考えられる。今シーズン、東京ヴェルディや横浜FCが最多観客動員を記録したホームゲームは、いずれもガンバ大阪戦です。カンファレンス制になれば「東京のチームには負けてくれるな」「リーグ戦で優勝できなくても、あのクラブにだけは勝て」などの意識も煽りやすくなるのです。

 

Jリーグの理念が“地域密着”であるのならば、制度改革で各クラブの地域性を高めることも視野に入れてよかったはずです。カンファレンス制にするのならおそらく、2ステージ制にする以上のドラスティックな変化が必要ですが、少なくとも私は2ステージ制よりも各クラブやリーグ全体としてのメリットが見えやすいと思います。

 

地域性の高まりによって、各クラブが地域で受け入れられ、住民の生活に浸透する。そうなることで固定のファンというのが確実に増えていくのです。そして地域の企業も巻き込んだビジネス展開が可能になり、地域経済が活性化され、ひいてはJリーグ全体に好影響を及ぼす、ということが考えられると思います。

 

Jリーグが立ち返るべきだった原点とは?

1シーズン制のまま進む。2ステージ制に回帰する。カンファレンス制を採用する。いずれの制度でも、必ずメリットや課題があると思います。現状のJリーグに資金が必要なことも理解しますが、こうした制度改革で大事なことというのは、リーグのあるべき姿や、そのスポーツのあるべき姿なのではないでしょうか。

 

Jリーグが立ち返るべきだった原点は2ステージ制によるリーグ戦ではなく、地域密着や百年構想。ファンとの信頼関係も失ってしまった今、以前の記事でも述べていますが、Jリーグが問われているのはリーグ運営の姿勢です。大東和美チェアマンを筆頭に、リーグにもファンにも誠実に対応してもらいたいと思います。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Twitter で

-サッカー
-