スポーツメディアの未来を示す「サカチャン」
2016/08/03
この2016年はVR(Virtual Reality:仮想現実)元年だと言われているようで、その波がどうやらスポーツにもやってきているようです。
練習風景のVR動画を提供する「サカチャン」
この5月11日に公開されたばかりの「サカチャン」です。今までにもサッカーの動画を紹介するようなサイトはありましたが、練習風景を映したものは無かったと思います。
しかも、VR技術を使った体験もできるというから驚きですね。現在公開されているのが横浜F・マリノスの中村俊輔選手のフリーキックをはじめとするVR動画ですが、これを観ると練習場のグラウンドに立っている視点で選手のプレーが体験できる。動画を観てみましたがこれはなかなかすごいです。
スポーツは当然のごとく動画と相性が良い訳ですが、VRと組み合わせるとその親和性がさらに増しますね。ユーザー体験という意味で考えると、練習場での風景というのは、普通はグラウンドの外でしか観る機会がない。自分が選手にでもならないとスタジアムでも同じですが、動画とVRを組み合わせるとインターネットメディアだけで提供できる体験というのができる訳ですね。
しかもこのサカチャンのいいところというのは、Snapchatに代表される“縦型動画”の時代に、きちんとスマートフォンで観やすい規格の動画をアップしているということですね。スマートフォンを横置きにする必要がないからとても観やすくなっています。1本1本の動画も尺が短いので手軽に観られる。
可能性を秘めた未来型のサッカーメディア
まさに、サカチャンはこの時代に現れたサッカー動画メディアだなと。これは様々な可能性を秘めた、スポーツメディアの一つの未来の形なのかもしれません。
TechCrunchの記事にもありましたが、今どきの子供たちはYouTubeなどのオンライン動画で世界のサッカー選手のプレーを観るそうです。スーパープレイを切り抜いた動画を繰り返し、繰り返し観るのだとか。
その中の選択肢には当然、Jリーグクラブの練習風景があってもいい。VR動画でリラックスした状態の選手のプレイを体験して、今度は自分でやってみよう、あるいはスタジアムで観てみたい、と考えてもおかしくありません。こうなるとメディアから間接的に育成や集客へ波及する効果が出てくるかもしれません。
VR技術については当然スタジアムでも導入できるものですから、スタジアムでファンが体験できるコンテンツとして提供してもいいんですよね。ピッチサイドシートと言われる座席を用意しているクラブもありますが、グラウンド内の景色や、選手がグラウンドへ向かう廊下を映したVR動画などを一緒に提供すると、より特別感が出てくることもあるでしょう。
スポーツにおいても、動画とVRで新たな体験が提供される時代になってきているということでしょう。メディアとしてのマネタイズも気になるところですので、このサカチャンは注目していきたいと思います。