Jリーグがファン取り込みのターゲットにすべきは、どの年齢層か?
2016/06/13
こんなニュースを見つけたので、今日はこれについて。2009年をピークに観客動員が減り続けていると言われているJリーグが、対策をとりはじめたようですね。
少し前から騒がれている2ステージ制復活のように、観客動員やスポンサー収入を増やすためのテコ入れの動きが少しずつ見え始めています。しかし、今回Jリーグがとっている対策というのは、どうしても一過性のものに見えてしまいますね。
Jリーグが生まれたのが1993年で、その年度に生まれた若者を無料で招待するという取り組み自体は悪いものだとは思いません。もちろんこの20歳前後の年齢層も取り込んでいくことが必要ですが、「早いうちからJリーグに触れること」を目的にして、ターゲットを設定するならもっと違う年齢層の方がいいのではないか? と思っています。
ターゲットにすべきは小学校低学年からローティーンの世代
筆者としては、小学校低学年からローティーンと言われる世代をターゲットにする方が、より長期的にファンを獲得できるのでは、と思います。そして、無料席の開放とともに、Jリーグ側でもキックオフ時間を考慮するなどの取り組みがあってもいいのでは、とも考えています。
日本では世界でも稀に見るスタジアムの安全性があり、よく家族連れの姿も見られます。この安全性と、低年齢層に対して働きかけ、経済の循環を狙っていくこともできるのです。
例えば、スタジアムやホームタウンの規模にもよりますが、毎試合1,000人から2,000人規模で無料席を開放する。Jリーグ側ではキックオフを15時以降に設定する。これだけでそれなりの数の小中学生が、地元での試合ごとに観戦に訪れるということを習慣化してくれるでのは、と思います(そう簡単にはいかないかもしれませんが)。
家族連れというのはもちろん微笑ましい光景ですが、やはり購買層としての親世代に観戦の決定権がある。もしくは、サッカークラブの練習と試合時間が重なってしまい、Jリーグを観に行けない観に行けないという小学生もいるはずです。チケットは安いとはいえ小学生以上は有料、そしてキックオフ時間もまちまち、という現状で、ファンにできるのに取りこぼしている小中学生の年代もいるはずなんですよね。
小中学生に無料開放することで、親子連れでなくても、例えばサッカークラブで観戦に訪れることも可能になる。現状では最も早いと13時キックオフの試合がありますが、それを少し遅くしてやるだけで、午前中に練習、午後は地元チームの試合を観戦、というようなスケジュールも可能になってくる。
そうして観戦に魅力を覚えた小中学生が成長して、購買層になったところでスタジアムに戻ってくる。さらに成長して今度は自分の家族をスタジアムへ連れて来る。この成長の間に友人や恋人を連れて来ることも考えられます。こうなると、最初は購買層でなかったファンでも、場合によっては少数であっても循環が見込めますし、百年構想や地域密着の理念にも合致してくる。
一過性ではなく、長期的に循環するファン施策を
私の考えは単純かもしれませんが、やはりファンの獲得というのは長期的な視点に立って考えることが大事だと思います。
Jリーグ20周年で20歳の若者を呼び込む。これはメモリアルを利用した良い施策かもしれません。
2ステージ制で注目される試合を増やし、観客動員やスポンサー収入を向上させる。世界のスタンダードではないと切り捨ててきたレギュレーションに戻すのが、果たしていいことなのか?
もちろん、観客が減少しているのは事実ですし、短期的に購買層を取り込むことは必要だと思います。ただ、今の施策ややろうとしていることは、どうしても目先の利益を追い求めているように見えてしまう。
Jリーグとしてはこの働きかけを一過性のものにしてしまうのではなく、将来的にどの層に呼びかけるのが中長期的に利益になるのか、どうしたら経済が循環していくのか、ということを実践していって欲しいと思います。