スポーツ

選手はスポーツの最大の資産 NPBが見失っているもの

2016/06/13

先週は記事をアップできず、更新のペースに穴を開けてしまいました。反省。

気を取り直して、今回はなかなか収束の気配を見せないプロ野球の「統一球」問題について。

 

“ルール違反”統一球に自身の署名。加藤良三コミッショナーの責任を問う。 | Number Web

 

20130623

 

日本野球機構(NPB)が球団、選手、ファンに隠して統一球の仕様を変更していたというのは、これは論外の過失です。スポーツとしての、競技としての野球の質が変わる重大な変更にもかかわらず、変更の事実を隠ぺいしていたというのは、選手やファンをはじめ、プロ野球に関わる者すべてに対する冒涜です。

 

事実が発覚した後のNPBの対応も非常にお粗末としか言いようがなく、「不祥事ではない」などという加藤良三コミッショナーの発言は、問題の本質を何も分かっていないということを印象付けさせ、極め付けは加藤コミッショナーが進退問題に言及され「第三者機関から意見が出れば留意するでしょう」とまで言い放った点。これはリンクした記事にもあるように他人事というか、問題自体を大したことだと思ってはいないことも表れでしょう。

 

加藤コミッショナーの対応も含め、NPBの反省なき対応は見て呆れを覚えるばかりでした。近年NPBで起こった問題といえば、2004年のプロ野球再編問題、2011年の震災後の開幕時期をめぐっての対応などが思い出されますが、彼らの抱える問題の本質は同じ。渡邉恒雄氏が過去に「たかが選手」と発言したことからも分かるように、選手やファン、ひいては球団までもを軽視しているというのがNPBの実態です。

 

スポーツとは「人」がやるもの。ボールが変わって最も脅かされるものは「生命」

選手のボイコットもあり、ファンの多大な反発を受けた歴史があるにもかかわらず全く反省の色が見えないというのは、正直に言うと組織として末期が近付いていると思います。

 

そして、その軽視している姿勢から窺えるのが、NPBはスポーツにとって最大の資産を既に見失っているということです。スポーツの最大の資産、それは私は紛れもなく「選手」であると思います。スポーツというのは「人」がやるもの。選手がいなければ球団は成り立たないし、ファンも「人」。そもそもが、選手がいなければ競技自体ができないのです。

 

統一球の問題でここまで声高に叫ばれているのが、選手の契約問題。ボールの仕様が変わったことで打率や防御率などの出来高払いに影響があるということです。しかし、これもあくまで二次的な問題。ボールが変わって最も脅かされるのは、選手の生命なんですよね。

 

ボールの反発係数が出て、バットに当たったボールのスピードが上がれば、間違いなく投手の生命が危険にさらされる。人間の反応を超えたスピードのボールが体に当たれば、当たり所が悪ければ死を意味することも有り得ます。そのボールに対策もとれないまま、変更されたものを使うというのが、どれほど危険なことか。

 

プロ野球に従事する人間であれば、いかに想像力が欠如していても分かることのはずです。競技を運営する組織が、選手の生命を脅かす変更を、選手会の同意を得ないばかりか黙っている。この事実にNPBは早く気付かなければ、おそらく今回以上の「不祥事」が近いうちに起こるのではないでしょうか。

 

もはや組織として期待がもてるような状態ではないですが、NPB、ひいては加藤コミッショナーには、「人」に対して誠意のある対応を求めたいですね。

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