チームに人数を集められないクラブや中学校 今必要なのはクラブ同士・学校同士の連携
2016/06/13
8月27日から30日にかけて、小学生年代のJリーグクラブやバルセロナ(スペイン)、リヴァプール(イングランド)、チョンブリーFC(タイ)が参加する「U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ」という大会がありました。U-12世代のバルセロナで主力として活躍する久保建英(たけふさ)選手の存在もあり、小学生年代の大会としては異例の注目を集める大会となっていました。
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その久保選手の活躍などは上記にリンクを貼った記事に詳しいのですが、この記事の中で、筆者として気になったのは4ページ目の「バルセロナは年長の年代だけで23人中22人をそろえていたが、日本は6年生だけで23人も抱え込んでいるクラブなどまずいない」という下りでした。
Jリーグクラブのジュニアチームでも、学年単独でのチーム編成が難しい現状
この大会に参加していたJクラブは関東以北の8クラブ。大会規定に沿って23人まで選手を登録して臨んでいたのですが、チーム紹介のページを見ると確かに、単独の学年だけでチームを組めているところはほとんどない。6年生だけの単独学年チームで臨んだ川崎フロンターレにしても、わずか16人という編成で、それ以外は2学年ないしは3学年の混成チームでした。
セレクションによって人材を確保できるJクラブでさえ、チーム編成についてはこの現状。これが各地域のクラブチームや部活動になるとどうでしょうか。
筆者が住んでいる海老名市で言えば、私がお世話になったクラブも含めて、単独の学年でチームを組むのはどんどん難しくなってきています。筆者が小学生だった頃は、学年で30人ほどいるチームも珍しくなかったのですが、現状では高学年のチームでようやく1チーム15、16人程度が集まれば御の字というほど。低学年になるとまだサッカーを始めている人数も少なく、1学年では11人を揃えられず、近年では1・2年生の混成チームも当たり前だという状態です。
このチームはまだ人を集められている方ですが、チームによっては、あるいは地域によっては、1学年でのチーム編成ができないようなところもあります。これが中学校の部活動になると、より状況は深刻になる。部活動になると、選択できるスポーツの数が増え、サッカーから他のスポーツへ移る生徒も出てくるからです。もちろん中学校からサッカーを始める生徒もいますが、人数の確保という面ではどんどん難しくなっていくのです。
事態の打開に必要なのは総合型地域スポーツクラブ まずはクラブ、地域の連携から
人数が増やせればいいという訳ではないと思いますが、適切な人数がいなければ練習などもままならない、というのはスポーツの常識。こうした現状を変えるためには、どのような努力が必要なのでしょうか。それが、以前の記事でも述べた、「総合型地域スポーツクラブ」だと筆者は思っています。
最初からそのようなスポーツクラブをつくれないとしても、一つのクラブや学校で解決できないのであれば、複数のクラブや学校を束ねることは可能だと思います。こうした環境をまず用意することで、適切な人数のチームを、適切な人数の指導者がみることのできる状態というのを作り出すことができます。
また、こうすることで、人数が集まらなくなりチームがなくなってしまう、という事態から救えるケースも出てくるのではないかと考えています。クラブチームにしても、中学校の部活動にしても、適切と言える以上の人数がいなければチーム運営もままならない。その、ままならない状態が続けばチームそのものがなくなる、というのも世の常。こうなるとスポーツの環境そのものがなくなってしまい、小中学生にいい環境とは言えない状態ができあがってしまうのです。
こうした事態が、先に挙げた記事で述べた「部活動の限界」の一端であり、こうした事態を打開するために必要なのが総合型地域スポーツクラブという訳です。
日本は文化として村社会というか、狭い地域でこうした物事を考えてしまうという面があるように思いますが、少子化も深刻な現代では、より広がった視点や地域同士のつながりというのが大切になってくると考えています。今回はサッカーの例を挙げて書いていますが、これは他のスポーツでも一緒。小さな“ムラ”だけで考えるのでは、限界がすぐにやってきてしまう時代になっているのだと思います。
まずはクラブチーム同士、学校同士の連携から。それが地域で考えるスポーツクラブの原形になるのではないでしょうか。