スポーツ

地方企業にメリットをもたらす、アスリート社員のフルタイム雇用

2016/06/13

先日「WEDGE Infinity」の記事を見て思うところがありましたので、その記事を紹介します。

 

脱「甘やかし」 アスリート社員のフルタイム勤務が企業スポーツを救う | WEDGE Infinity

 

このブログでは以前から、特にJリーグクラブを引き合いに出してスポーツは地域との結びつきを強くするべき、ということを語っていますが、アスリートが企業へ勤めるのもその形の一つですね。この形は、企業にとってもアスリートにとってもメリットが大きいんですよね。そしてこれは日本のスポーツを変えられる可能性もある。

 

20140208

※写真はイメージです。

 

この記事で示唆的なのは、2ページ目の“資金面さえクリアできれば競技を続けられる有能なアスリートは数多くいる”という指摘。そして、企業がアスリートを抱えることに“『お金がかかり過ぎる』という誤解がある”という部分ですね。この2点は今の日本スポーツにある事実だと思います。

 

企業とアスリート双方にメリットがあるフルタイム雇用 広報効果ももたらせる

まず、資金がなくて競技を続けられないアスリートというのは非常に大勢います。その多くはマイナースポーツと言われる競技で、アスリートやプレイヤー自身が、大会への参加費用や環境を整えるための費用を負担しているということがあります。それを自己負担できるだけの資金がなく、環境がなくなり、ついには競技を続けられなくなる、というケースは往々にして起こっています。

 

そこを解決するのが企業に勤めることで、働いて収入を得ることで、きちんと生活をしながら競技を続けることが可能になってきます。また、企業側が選手が支払ってきた費用を負担することで(全額でなくても)、アスリートが非常に生活しやすくなっていくんですよね。日々のトレーニングの時間を確保するために、残業や休日を優遇するような措置はハードルがあるかもしれませんが、それでもアスリートにとってのメリットはかなり大きい。

 

それだけでなく、これは企業にとってもメリットがあることです。確かにメジャーなスポーツでなければ、テレビ等のメディアへの露出は少ないかもしれませんが、優秀な選手を抱え、活躍することで企業の間接的な広報にもなります。広報による効果というのは軽く見たものではなくて、場合によっては数千万円から数億円の価値が出ることもあります。こうした価値の出る人材を、フルタイム社員として雇うことで、社員一人分のコスト+数百万円というような単位で抱えることができるのです。

 

プロスポーツチームのような形態で、社員ではない選手を何人も抱えて年俸を支払うような形をとると、これは企業としてもやり繰りが苦しくなるところだと思います。どうしても経営的な面を考えなければならず、しかも景気にまで左右されてしまう。これを解決するためにも、フルタイム社員にすることで企業側のコストを抑えつつ、広報効果も期待できるというのは認知されるべきだと思います。

 

フルタイム社員アスリートの存在は、大企業よりも地方企業にメリットをもたらす

そしてこれは、地方企業の方がより活用すべきだと思います。地方企業が、地元出身で地元で育った選手を雇用する。その選手が活躍してファンを増やし、企業の広告塔となる。そうした選手を抱えていることで、企業の印象もよくなっていくのです。もちろん企業が地元地域への貢献やマーケティングをしていく必要はありますが、これができれば企業と近隣地域とのコネクションも強くなっていきます。

 

このモデルケースが確立すると、今度はどうなるか。次なる地元の有力選手を抱えることも可能になってきますし、それができれば企業としてもアスリートの雇用を促進できます。選手の広報効果が大きくなれば、地域への還元も大きくなっていきますし、抱えている企業も「地域へ貢献している企業」としてのイメージが高まっていく。地方経済の活性化にもつながりますし、その地域にJリーグやプロ野球のチームがあれば相乗効果も生まれやすい。

 

Jリーグクラブなどが地域活動を行うことで地域に還元できる部分があり、それが経済の活性化にもつながります。それはクラブがスタジアムを所有することでできる、ということは以前にも書いてきました。それはプロクラブの視点に立っての側面ですが、企業が地域経済へアプローチすることもできる。ただ企業の利益を追い求めるだけでなく、地方の市場を大きくすることにもつながるのです。それをスポーツを通してやることが可能になっている。

 

上記の記事にも出てきたエスビー食品のように、スポーツチームの所有を諦める企業も増える昨今ですが、それは旧来の企業スポーツのやり方で選手やチームを抱えてきたからなんですよね。それが今できないのなら、違う形でスポーツへの関わり方を考えればいいだけのこと。企業スポーツにも、新しい風が吹いて欲しいと思います。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Twitter で

-スポーツ
-