Jリーグが迎えている第二の誕生 地域文化を発展させる存在へ
2016/06/13
昨日、テレビ東京の「FOOTxBRAIN」を見ていて思ったことを書こうと思います。昨日の放送は「J3を知っていますか?3部リーグの真実」というのがテーマでした。
昨日の放送を見ていて感じたのが、今年からJ3が始まることによって、Jリーグは「第二の誕生」を迎えているのではないか? という思いです。
福島ユナイテッドや長野パルセイロが見せる、プロクラブのあるべき姿
放送の中で描かれていたのは、福島ユナイテッドFCやAC長野パルセイロというクラブ。まさに今日、J3が開幕してその開幕戦でこの2チームが激突した訳ですが、開幕に向けて奮闘する姿には考えさせられるものがありました。どちらのクラブも、地域に根差してクラブとしての貢献を果たそうとしている。これがあるべきプロクラブの姿なのではないかと思います。
そもそも、Jリーグが生まれた際の理念が「地域密着」であり「スポーツ文化の振興」というものです。福島ユナイテッドが湘南ベルマーレと業務提携し、首都圏でも東北復興のために努めることや、長野市民8万6000人分の署名を集めてスタジアムを建設するというのも、その理念に合致する行動なんですよね。
そしてそのクラブの行動というのは、文化を根付かせ発展させていく行動でもあるのです。企業ではなく都道府県や地域の名を背負い、クラブがやっていくことそのものが文化発展事業になっていると言ってもいいかもしれません。
Jリーグ「第二の誕生」の意義とは クラブが地域文化を発展させる存在に
1993年のJリーグ開幕が第一の誕生。この時の誕生の意義というのは、企業スポーツから脱したプロスポーツの在り方というものを再定義したと思います。20年以上経った今でも、結果としてスポンサー企業の力が大きく残っている部分はありますが、プロ野球でも地域密着の考えが採り入れられ、日本のバスケットボール界もJリーグの理念を参考に再編が進むなど様々に影響を与えています。こうした動きがあるだけでも、第一の誕生には物凄く大きな意味がありました。
サッカー界で見ても、プロリーグとしてはJ3までカテゴリーが拡大し、Jリーグクラブの数は51まで増えました。それ以外にも、将来のJリーグ入りを目指すクラブが全国に多数ある。20年前までは一部の大企業しか持つことのできなかったプロクラブを、各地方で持てるようになった。これが第一の誕生がもたらした最大の恩恵でしょう。
そして今迎えているのが第二の誕生。Jリーグは既に草創期を越え、これからリーグとして成熟期を迎えていくと思います。これまでがクラブを持つことに意義があったのだとしたら、これからはそのクラブがいかに地域に貢献していくかが問われてくるのではないでしょうか。
一部のクラブを除いて、今Jリーグのクラブはほとんどが苦しい経営を強いられています。ですが、浦和レッズやアルビレックス新潟が成功しているように、地域との結び付きを強めていくことで、この苦しい状況を抜けられると思います。地域に根差すことで、地域の人がファンになってくれる。ファンが増えればそれがクラブの価値となり、地域で投資してくれる企業も増える。それが結果的に地域にビジネスを生み、地域を活性化させる。こんな好循環が生まれていくはずです。
だから、苦しい今こそJリーグクラブは地域に根差し、地域の文化を発展させる存在にならなければならない。既に実践しているクラブも多くありますが、このことは全てのクラブが認識しなければいけないんですよね。それを教えてくれるのが、福島ユナイテッドFCやAC長野パルセイロという訳です。
地域に根差し、地域とともに生きるJリーグ。そうなることが今、求められているのではないでしょうか。J3の開幕によってその意義に気付くこと、それがJリーグの第二の誕生だと思います。