サッカー

Jリーグの「秋春制」是非を考える (3)何のためにスタジアムを改善するのか

さて、ようやく書けた3回目ですが、スタジアムについて考えたいと思います。

・最適な開催時期は?

・天皇杯やナビスコカップはどうする?

・スタジアム側の努力は? ←今ココ

・経済面はどちらが有利か?

・秋春制はJリーグのため?日本代表のため?

 

秋春制の議論をする上で忘れてはいけないのが、各クラブが使用しているスタジアムです。秋春制になれば12月〜2月の時期にも試合が行われることになるでしょうが、その時期の使用を前提に作られていない、という問題があります。それは積雪地方であっても。

 

最近では芝生の管理のために、グラウンドのヒーティングシステムを導入しているスタジアムは多いのですが、観客席のヒーティングシステムはありません。札幌ドームのようなスタジアムならともかく、陸上競技場など日本に多い形のスタジアムではどうしても冬季は吹きっさらしの中で観戦するしかありません。

 

日本の冬は積雪地方でなくても厳しく、スポーツ観戦には向いていないというのはよく言われることです。ここは秋春制になれば積雪地方をはじめとして解決しなければならないところですが、近年の不況も手伝ってヒーティングシステムに投資できる予算はどのクラブにもない。また、スタジアムもクラブの所有物ではなく、各ホームタウンの置かれる自治体から借りているもので、クラブの意思だけで投資をすることもできない。これが秋春制への移行を否定する理由となっています。

 

秋春制とは関係なく、スタジアムは考えるべき問題

ただ、これは秋春制の議論とは離れるかもしれませんが、予算がないからといってこのままでいいのか? と思うのです。

 

秋春制と春秋制とにかかわらず、クラブやスタジアムとしては、観客が快適に観戦できる環境を整えるべきです。開幕直後の3月や、冬が近づく11月でも非常に寒い日があります。それを考えればヒーティングシステムはすぐにでも必要なはずです。ヒーティングシステムを例に挙げてはいますが、それ以外にも改善すべき点は多々あるはずなのです。

 

様々な側面から秋春制、春秋制というのが議論・検証されているとは思うのですが、クラブやスタジアムといった運営側の努力放棄にも見える主張には首を傾げざるを得ません。

 

近年の不況もあって、自治体に予算がないのは承知しています。各クラブも予算が厳しい中で運営されており、スタジアム等のインフラに金を使っている場合ではない、という事情もあるでしょう。そうした環境があって、秋春制と理想にされているものがあって、鶏が先か卵が先か、というような話かもしれませんが、ここは運営側が最低限、いつならそれが可能かというラインを示すべきだと思います。

 

今は、現状予算がないから無理、という話しかありませんね。今はできないけど20xx年なら予算が立てられる。だからその時にまた議論しよう、というような姿勢は一切ありません。

 

秋春制を実施するという仮定の中で、スタジアムは自治体が持つのか、クラブが所有するのか、という議論ももちろんありません。これは今後のJリーグを考える上で必ず必要になってくることなのですが、そこに対して建設的な要素が見受けられない。ここは非常に残念なところです。

 

スタジアムの問題は秋春制移行に反対する理由としてよく使われていますが、秋春制どうこうというのをきっかけとして、クラブやスタジアム側にも、今後どうすればいいのか? ということを考えてもらいたいと思います。

 

 

さて、このシリーズも折り返しとなりました。次回は経済面ということで、決して自分は得意な分野ではないのですが、思うことを書いていきたいと思います。

 

それではまた。

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