Jリーグチャンピオンシップで負担を強いられたのは誰?
昨日12月3日(土)は2016年Jリーグチャンピオンシップ第2戦が行われた訳ですが、年間勝ち点1位の浦和レッズが優勝できなかったことでネガティブな話題になっていますね。
「汚点」と記憶するしかないチャンピオンシップ制度
詳細を私が言うまでもないですが、浦和レッズから勝ち点15も離れて年間3位だった鹿島アントラーズが逆転で勝利を手にし、3位だったはずが「年間王者」を名乗れるようになってしまった。ファーストステージを制してレギュレーション上の資格はあったとは言え、昨年と今年のチャンピオンシップというシステムの欠陥があらわになりましたね。
私は浦和と鹿島のどちらのファンでもアンチでもないですが、それでも嫌な気分にさせられる。中立のファンからも嫌がられ、戦う選手にも複雑な気持ちを抱かせる。年内には昨年と今年のチャンピオンシップについて総括するようですが、果たしてこんな制度を「成功」などと評価できるのでしょうか? 成功とするならJリーグは詐欺を働いているも同然です。
実施前からファンからの批判が多かったチャンピオンシップの制度ですが、実施の決議がされる前に恐れていたことが現実になってしまった。そう思わざるを得ない結末でした。Jリーグの健全な競争のためにあるはずの制度が、満場一致で納得できないチャンピオンを生み出してしまった。Jリーグの歴史における汚点として記憶するしかありません。
Jリーグの財政はJリーグが解決すべきだった。なぜクラブ・選手・ファンに負担を強いたのか?
2013年、財政の危機が迫っていることを理由にJリーグはチャンピオンシップ開催を押し通しました。「戦うクラブには優勝のチャンスが増える」と御為ごかしな理屈を並べましたが、それは真面目に戦うチームや勝ち点をきちんと稼ぐクラブが馬鹿を見ることになりやすい、ということの裏返しでもありました。財政的な面を強調して、スポーツ的な見地で「なぜプレーオフが必要なのか?」については一切の説明ができなかった。
DAZNのパフォームグループと高額の放映権契約を結んだ途端に、来期からの1ステージ制への回帰が決定したことを鑑みても、財政以外にプレーオフをやる理由がなかったのは明白です。Jリーグはなぜクラブ・選手・ファンに負担をかけさせる制度を採決できたのか。
Jリーグのステージはチャンピオンシップのための予選ではありません。チャンピオンを決める舞台であるべきなのにそこでは決められない。勝ち点で年間1位なのに王者を名乗れない、馬鹿を見る可能性がある。勝ち点の価値は一体どこへ行ったのか。
「下克上」と言えば見た目はいいが、それは“本来は王者の資格がない”クラブが優勝してしまったということ。その場合は負けた方も勝った方も複雑な心境にさせられる。選手の心境も察するに余りあります。こんなものミラクルでも何でもなく、Jリーグは今年のシーズンを見た目よく語ってはいけないと思います。
Jリーグは関連収入を得て、クラブに選手にファンに負担ばかりを強いた。Jリーグの財政的な問題は、組織としてのJリーグが解決すべきだったのに負担がかかったのはJリーグ以外のステークホルダーだった。言ってみれば盗人の論理です。考えれば考えるほどおかしく、本当に酷い理屈です。
この制度が決まってから着任した村井満チェアマンにはとばっちりかもしれませんが、きちんとこの2年間を総括し、二度とこのようなおかしな理屈がまかり通らないようにJリーグを“自浄”してもらうことを期待します。それがJリーグの健全な未来のためだと思います。