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ACL・広島戦で“疑惑の判定” メディアが為すべきことは何か?

2016/06/14

4月1日(火)に行われた、AFC・チャンピオンズリーグ(ACL)のFCソウル対サンフレッチェ広島戦が話題になっていますね。サッカーの情報を追っていれば多くの方がご存知だと思いますが、“疑惑の判定”によって広島が勝ち点を失った、というのが問題になっています。

 

広島、判定に泣き敵地でドロー 一度は林がPKストップも… | Goal.com

 

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AFC(アジアサッカー連盟)に抗議文を提出したことを伝えるサンフレッチェ広島の公式サイト。

 

PKと判定するには難しいプレー 問題の根深さを物語る人物も

私も映像で渦中のプレーを見ましたが、PKと判定するには難しい、という印象を受けました。確かにペナルティエリア内で接触があり、FCソウルの選手が倒れていますが、サッカーの常識で言えばあの程度の当たりは日常茶飯事。広島の選手も故意に倒したのでなければ、FCソウルの選手もあの程度で倒れてはいけないと思います。

 

他にも広島の選手に対する危険なプレーがファウルをとられないことがあり、広島の森保一監督が「コントロールのできない力が働いた」と憤り、広島がAFCに抗議文を提出したのも当然のことです。広島のクラブとしての対応は至極真っ当で、誠意あるものだと思います。

 

個人的に残念だったのは、FCソウルのチェ・ヨンス監督が「明らかなPKだった」と発言したこと。彼は韓国の名ストライカーだった人物で、それこそペナルティエリア内でしのぎを削ってきた人物。彼があのような“疑惑の判定”を彼が肯定できてしまうということが、この問題の根深さを物語っているのではないでしょうか。

 

これに関することで、昨年にも同様に“疑惑の判定”がありました。

 

敵地でPK4本献上も…柏は水原三星に6発大勝で開幕3連勝 | ゲキサカ

 

この試合は柏が大勝したため、あまり大きな問題にはなっていません。ですが、一試合で片方のチームに4本もPKが与えられるというのは、本来起こるはずがないことです。サッカーにおいてPKを与えるというのは、本当にデリケートな判定になりやすいからです。

 

一体メディアは何をやっているのか? 20年前から変わらぬガラパゴス

ここで私が言いたいのは、「一体メディアは何をやっているのか?」ということです。結局日本のメディアは国内で騒ぐばかりで、どうしてこの状況を毅然と叩くことができないのでしょうか。試合を観に行っていた日本のメディアの記者は、一体何を目にしてきたのでしょうか。

 

近年はJリーグクラブがアジアで勝ち抜けなくなっています。コンペティションとしてのJリーグはアジアトップのレベルですが、なぜJリーグクラブが勝つことができなくなったのか。それはJリーグクラブが指向するサッカーがACLの傾向とマッチしていないということもありますが、実力以外の要素も大きく働いている部分があると思います。

 

すべての原因をグラウンド外の要素に求めるわけにはいきませんが、あからさま過ぎる優遇が存在しているのも事実。それが日本のクラブが相手になるとより顕著になる。それが20年前から変わらぬアジアの傾向です。

 

その度に日本のメディアは、真っ当な主張をするフリをして「アジアのレベルアップには審判の質の改善が必要」などと言います。この言説は20年前から変わっていない。メディアはこうした状況を叩ける急先鋒であるにも関わらず、問題の本質には突っ込まない。主張しているようで問題を放置しているのと何ら変わりがない。

 

この状況下で日本のクラブが負けると、メディアは何を始めるか。森保監督が言う「コントロールできない力」を乗り越えられないクラブを批判し始めるんですよね。勝ちに相応しい試合をしていても、最後の最後に起こる理不尽で強引に勝ち点を持っていかれる。そんなことを何度も経験しているはずなのに、メディアがするのは国内でのスケープゴート探し。まったくもってジャーナリズムの風上にも置けません。

 

日本のスポーツ界というのは、以前の記事でも書いていますが、選手や一部関係者の努力や善意というものにとことん甘える。今回も、起こった問題に誠実に対応したのは広島というクラブやファンだけです。広島の選手は判定に不満を覚えながらも、「最後は自分たちの責任」と言わんばかりに口を閉ざす。今の日本のメディアで、選手やクラブを正しく評価できるところはどれだけいるでしょうか?

 

日本の社会では、携帯電話の他に教育・医療・メディアがガラパゴスの最後の砦だと言われています。日本のメディアはガラパゴス状態を脱せねばなりませんし、スポーツ界を正しく評価できるようになってもらわないといけない。Jリーグ誕生から20年以上経ち、選手や監督はプロになった。今度はそれを報じるメディアも、プロになっていかなければならないと思います。

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