スポーツ

育成年代の指導に必要な、学校の地域貢献

2016/06/14

この数週間ほど、引っ越しやら風邪でダウンしたやらで更新できておりませんでした。誠に申し訳ありません。この数ヶ月休みをきちんととっていなかったからか、風邪も長引いてしまったのですが、今週からいつものペースに戻していきたいと思います。

 

更新できなかった間に書こうと思っていたのが、もう1ヶ月以上前の記事になるのですが、下記に紹介する記事についてです。

 

ユース年代の育成で意識したい2つの視点 “上につながる”選手を“地域で育てる” | スポーツナビ

 

20140510

 

日本スポーツの現状では、カテゴリーごとの指導・育成が切り離されている

もともとスペインでライターとして活躍していて、日本では育成年代を多く取材している小澤一郎氏の書いたものですが、育成年代で肝心なのはタイトルにもあるように「上につながる」ことと「地域で育てる」ことなんですよね。これを言い換えると、そのスポーツの中で選手のキャリアに対する“全体感”を持って指導することです。

 

これまで、日本のスポーツと言えば育成年代では部活、それ以降では企業が中心となってきた訳ですが、それぞれのカテゴリーが切り離された組織であるため、選手への指導も一貫性を保つことが難しい側面があります。指導法や指導方針が中学校と高校とで異なる、高校までと企業に入って以降ではガラッと変わってしまう、というようなことが起こってしまう。

 

そして、これまで私が何度も書いているように、部活が育成の中心となることでスポーツは教育との結び付きが深くなり過ぎていた。学校教育とは別の軸で人を育むという点から、それはそれで間違いではないと思いますが、近年では負の側面が多く出るようになってきてしまった。それが閉鎖された世界での暴力ということです。

 

その暴力にもつながる部分として、部活が教育に利用されてしまっている。私立高校で特に顕著ですが、全国大会で何位、プロ入り選手を何人輩出、というのが学校の実績として語られる。この実績の多くは有力な選手を全国や近隣から集めたもので、学校が育成に力を入れてのものではないということに気を付けなければなりません。進学校の「東大・京大に何人」と本質的な変わりがない。

 

カテゴリー内の勝ち負けでなく、地域への貢献を目指す姿勢が必要

小澤氏の指摘にもあるように、育成年代では未だに「どうしてもカテゴリー内でのチームの勝ち負け、結果ばかりが追い求められる傾向にある」状態です。選手たちのキャリアに対して全体感を持った指導をしなければ、学校が学校のために選手たちの才能を利用して、ただ消費するだけに終わってしまう。

 

この状態を解決するための手法としては、やはり学校と地域との結び付きを強くすることでしょう。小澤氏の記事の中にもある富山第一高校のケースのように、地域にある高校が育成のピラミッドの頂点に立ち底辺を広げていく、あるいはカテゴリーを越えた指導を行っていくことが大事になってくるでしょう。

 

このピラミッドの頂点に立つのはもちろん、Jリーグクラブやプロ野球チームであってもいい。クラブの支配下に置いている組織だけでなく、地域が一つになって選手を育て、そうした選手たちがプロになっていく。こうしていくことで“おらが町のクラブ”が生まれていくんですよね。これができると日本のスポーツの土壌が確実に広く豊かになっていく。

 

地域で選手を育てられるようになると、学校もその恩恵に与れるようになります。全国や近隣から選手を集めようとすると、スカウト活動などでコストがかかるものですが、地域で選手が育てばそのコストが不要、もしくは抑えられるようになる。地域で育った選手が増えれば、地域ならではのサポートも考えられる。

 

現在の状態だと、それぞれの年代や学校ごとに育成が別物になってしまっている。そこを地域で連携することにより、カテゴリーを越えた指導や育成が可能になる。あるいは選手それぞれのキャリアの到達点を見極め、各段階で選手に合った指導をすることも可能になってくる。そこで育った選手が地域の高校、大学、プロと進んで活躍すれば、上位のカテゴリーにも有形無形の恩恵がある。

 

日本のスポーツも教育も姿を変えつつある中で、“部活”も今のままではいずれやっていけなくなる。とすれば、カテゴリー内での勝負にこだわるのではなく、地域に貢献することで存在価値を高めていくことが学校側としても必要になる訳です。選手たちの才能をただ消費するだけでなく、選手も学校も幸せになれるよう、在り方を考えていく必要があるのでしょうね。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Twitter で

-スポーツ
-, ,