スタジアムやアリーナと“一緒に街をデザインする”という考え方
10月16日(日)にBリーグを初観戦してきました。渋谷の青山学院記念館で行われた、サンロッカーズ渋谷対川崎ブレイブサンダースの一戦です。自分にとって久しぶりのバスケットボール観戦によって、色々と気付くこともあったので書き起こそうと思います。
渋谷と表参道の中間という立地の素晴らしさ
何はなくともまず、アリーナの立地の良さが素晴らしいですよね。青山学院大学・青山キャンパスの敷地内にある体育館を利用していることから、渋谷と表参道の中間という場所にあります。駅からも程よい距離にあるアクセスの良さもそうですが、普段から多くの人が集まる街の中にあるというのも一つのポイントになりますね。
私は渋谷駅から歩き、友人と青山学院大学近くで待ち合わせをして会場へ入ったのですが、この歩いている間の体験というのも大事だなと。この立地なら渋谷から宮益坂を登ったり、表参道から青山通りを歩いてきたりとする訳ですが、この間の道を「歩こう」という気になれるんですよね。有名な通りを歩くこともそうですし、ちょっと脇道に入ってお洒落なカフェや珍しい店を探してもいい。渋谷のど真ん中というのは正にそういう場所なのです。
スタジアムやアリーナの立地ということだと、よく電車でのアクセスや駅からの徒歩の時間などが評価要素として上がってきますが、これだけで評価していてはいけないのではないかと思います。もちろん距離感というのも非常に大事ではあるのですが、会場に辿り着くまでの体験というのも作り上げなければならない。渋谷にBリーグ観戦をしに行って最も強く感じたのはこの部分でした。
日本の大型のスタジアムだと、最寄り駅の規模が小さかったり、駅からやたら歩いたりという場所が多い。ですが、その間の体験が面白ければ少しくらい歩くのが長くても、そこでの経験をポジティブに捉えられる訳です。逆に言えば、その会場へ向かう間の体験もスタジアムやアリーナを考える時にデザインすべきなんですよね。
スタジアムやアリーナと“一緒に街をデザインする”という考え方
私自身、スタジアムやアリーナを周囲から独立した施設や建設物と捉えてしまっていましたが、それはやはり“スポーツ的”視点ということになる。“ビジネス的”な目線で見れば、施設としての機能性や商業性はもちろんのこと、周辺環境との調和や相乗効果というのも考えないといけないはずなんですよね。
もちろんそうしたベニューはクラブチームが使用するものですが、かといってクラブチームだけの持ち物ではない。箱物ではなく周辺地域の住民の生活を豊かにできるものにしなくてはいけない。その考えも合わせていくと、必要なのはスタジアムやアリーナと一緒に街をデザインするという考えなのではないかなと思います。
この見方をするとサンロッカーズ渋谷がホームに青山学院記念館を選んだのは本当にうまいやり方です。既に渋谷の街で受け入れられている青山学院大学の知名度も借りて、渋谷や表参道の街の中に、プロバスケットボールという一つのコンテンツを付け加えたということになります。
街に受け入れられるのではなく、一緒に街をデザインするという考え方。これは近年の地方創生や、SNSを中心に起こるコミュニティの概念とも反駁はしないものです。日本のプロスポーツに必要なのは、こうした考え方なのかもしれないですね。