スポーツはエンターテインメントか、バラエティか
2016/06/14
現在開催中のリオデジャネイロ五輪最終予選で、女子バレーボール代表が本大会出場を決めましたね。ただ、この嬉しいニュースの裏で、試合の演出に一部で批判が出ているようですね。
演出過剰なバレーボール中継
昨日のイタリア戦で2セットを取れれば、勝ち点とセット率の計算でオリンピック出場が決まるという条件でした。競った試合になって日本は第4セットを奪ってセットカウント2-2とし、ここでオリンピック出場が決定しました。
批判が出ているのはここから。フルセットに突入でまだ試合が続いているにもかかわらず、アナウンサーやタレントが騒いでいたことが一部ファンの反感を買っているようです。私も中継を観ていましたが、解説の川合俊一氏が苦言を呈すほどには酷かった。
このイタリア戦だけでなく、バレーボール中継のタレント起用については以前からも批判が多いですね。オリンピック前年のワールドカップも含め、タレント起用や過剰な演出については「もういらないんじゃないか?」という声は近年多くなってきています。
バレーボールの国際大会については、FIVB(国際バレーボール連盟)の経済的なしがらみなどで日本開催が多いと言われますが、開催国という立場にしてもちょっとやり過ぎだなと、観ていて私も思います。
日本のスポーツはエンターテインメントか、バラエティか
ここで考えたのが、日本のスポーツはエンターテインメントなのか、バラエティなのか、ということです。エンタメやショーとして捉えるのは興行的な意味でも良いとは思うのですが、バレーボールに関してはバラエティに寄り過ぎてしまっていますね。ワールドカップにしても五輪最終予選にしても、緊張感のある大会にそぐわない演出になっています。
こうなると競技に対するファンも醸成されにくくなってくるんですよね。タレントを前提にした演出をすることで、会場に足を運ぶ観客の中にはタレントのファンも多く、試合そっちのけでタレントを眺めている人もいるとか。また、こうした演出はどうしても好き嫌いが分かれやすく、タレントに興味がない人や嫌いな人は批判にもあるように嫌気が差し始めている。こうした声が増えるのはバレーボールにとってはマイナスプロモーションになります。
バレーボールとしては、演出や盛り上がりをタレントに依存する状況については改善をしなければならないと思います。タレントのファンがバレーボールのファンから席を奪う状況や、タレントと演出に対して嫌悪感を抱くような空気についても同様です。ワールドカップや五輪最終予選の時だけ興行が成功すればいいという考えがあるならば、それは今すぐ改めなければならない。それではいつまでも日本バレーボールを取り巻く環境は変わっていきません。
今の状態は日本代表の勝敗にも依存している部分があります。もし男子も女子もオリンピックに出られないような状態になったら? そうなると興行の価値が失われ、タレントを起用する資金すらなくなるかもしれない。そんな未来が来ることは望んでいませんが、来るかもしれない危機には備えておいた方が良い。
競技全体の質を上げていくことはスポーツの永遠の課題ですが、エンターテインメントとしての価値を上げ、本当のファンを増やし続けていくこともまた使命だと思います。そうした観点を今、持つべきなのではないでしょうか。