メーカーとの連携から大学スポーツの可能性が広がる
2016/06/14
既に2週間近く経ってしまっているのですが、関東学院とスポーツメーカーのアンダーアーマーがパートナーシップ契約を結んだというリリースがありました。
3月には早稲田大学がアシックスと包括契約を結ぶというニュースもありました。大学とメーカーの連携としてはこれに続く事例になりますね。
スポーツのサポートだけではない連携でWin-Winの関係が構築されている
早稲田大学にしても関東学院にしても、単純にメーカーが大学スポーツをサポートするというだけではなく、スポーツ分野の収益化や人材育成といった面にも目を向けた連携になっています。大学としてはスポーツを通じて得た収益で、スポーツ分野へのさらなる投資も、学術分野への充実も図ることができるようになっていく訳ですね。
メーカーも一企業ですから、当然契約による投資を回収できる見込みが立っているということになります。スポーツを通じた価値創出で大学のブランド価値向上にも貢献しますし、メーカーとしても地域スポーツや大学コミュニティに対するPRやマーケティングのノウハウを溜めていける。企業活動として得られる利益も相当大きいのではないでしょうか。
野球、サッカー、ラグビー、陸上といった大学スポーツの中でもメジャーな競技はもちろん、マイナーな競技もこの包括的契約の恩恵を受けられるはずです。大学が収益を上げることで投資の対象になるのはもちろん、今までサプライヤー契約が難しかったところも、今後はメーカーの技術提供などを受けられるようになる。そうしていくうちに競技のレベルや人気が上がっていくことも考えられる。
メーカーが技術を提供することで競技や人材の質を支えるインフラが大学に構築されていく。メーカーも大学スポーツに関する分野でのマーケティングが今までよりもやりやすくなる。非常によくできたWin-Winの関係が、既に構築できているのではないかと思います。
スポーツメーカーの連携で大学スポーツの可能性が広がる
これまでは個別の部で契約しているケースが多かったのですが、今後もこのような大学×スポーツメーカーの包括的連携というのはありそうですね。スポーツでブランドが確立されている慶応大学、明治大学、青山学院大学といった大学などは可能性があるんじゃないかと思います。
大学スポーツだと大学野球や箱根駅伝が有名ですが、早慶戦や箱根駅伝が示してきたように作り方によっては規模が大きなコンテンツにもなる。メーカーからするとここにまずビジネスチャンスがあります。
加えて、大学との連携によって大学ブランドとともに価値が向上し、大学が属している地域やコミュニティに対してもアピールになる。世界の市場をナイキやアディダスが席巻しているこのご時世で、国内市場の創出やプレゼンスを高めていくという意味でもメーカー企業にとっては大きなチャンスなのではないかと思います。
メーカーの協力もあれば大学スポーツのインフラも充実してくるし、プロや社会人チームへの人材輩出の源泉としても有力になっていく訳ですね。こうしたところから日本スポーツ全体への貢献というところも見えてくる。こう考えていくと、日本スポーツを牽引する立場としての大学に、可能性が大きく広がってきているように思います。
そもそも日本の大学スポーツのレベルは高く、サッカー天皇杯では大学がJ1クラブに勝つことも過去にあったほど。これが発展していけば、もしかするとアメリカのカレッジスポーツのように、一大市場を作り上げることも可能かもしれません。早稲田大学や関東学院の取り組みにはそんな可能性があるんじゃないかと思います。