プロスポーツビジネスの発展・拡大のために、クラブのスタジアム所有を
2016/06/13
テレビ東京系で放送している「FOOT×BRAIN」ほぼ毎週見ているのですが、7月13日(土)の放送分でのテーマが「サッカー×企業 意外と知らないスポンサーの実態!」というものでした。
この放送の中で、我が意を得たりというか、筆者としても以前から考えていたことや前回の記事にもつながることがアナリストの意見として上がっていたので、それについて書こうと思います。
スタジアムの環境改善に影響する2つの要素
Jリーグ、スポンサーが増えないのは「ファンの絶対数が増えていない」 | livedoor NEWS
Jリーグの平均観客動員数が1万7,000人から1万8,000人程度。これは世界各国のリーグ戦の中でもトップ10に入る動員数で、サッカーの新興国としては非常に健闘しているとは思うのですが、日本のスポーツの土壌や文化の裾野を広げていくためには、この数字はもっと伸ばしていかなければいけない。
アナリストが意見として上げていたのは、スタジアムの環境改善。そのために必要な要素は様々あると思いますが、大きく影響するところとしては2点あると思います。
各クラブがスタジアムを所有する
その上でスタジアムをテーマパーク化する
プロクラブや球団のスタジアム所有は、新しいビジネス展開に必須
以前にも「Jリーグの「秋春制」是非を考える (3)何のためにスタジアムを改善するのか」で書いていますが、Jリーグに限らず日本のプロスポーツで使われているスタジアムは、そのほとんどが自治体の所有物です。この状態というのは、それぞれのクラブにとってはあまり自由が利かないところで、ビジネスを進めていくためにはスタジアムの私有化が必須だと思います。
現状クラブがスタジアムを使えるのは、試合を行う当日だけ。その当日に、試合前後の限られた使用時間のうちに小さなイベントをやったり屋台を出したりとなるわけですが、これだけでは入場料やマッチスポンサー以外の収入もさほど多くはなりませんし、スタジアムを利用したビジネス展開も難しい。
設備投資についても、クラブが所有しているものではないため、クラブの一存では行えない。上記にリンクした記事で言えば、Jリーグの秋春制に備えてヒーティングシステムを導入する、というようなことも非常に難しくなってしまっている。こうした判断を柔軟にするためには、やはり私有化が求められると思います。
スタジアムの商業施設化により、ビジネスに相乗効果が生まれる
それともう1点は、スタジアムのテーマパーク化。少し前にNumber Webで投稿されていた記事の中で、プロ野球の楽天や日本ハムがスタジアムの「ボールパーク化」を進めているという紹介がありました。
MLBが目指すボールパーク化戦略。サービスの品質を決めるものは何か。 | Number Web
これこそが、クラブや球団がスタジアムを所有することで得られる最大のメリットだと思います。テーマパーク化と書いていますが、公共の運動公園などの中にある一設備ではなく、商業施設としての色合いをスタジアムとして出していくべきだということです。
こうすることで、クラブや球団の収入減が増え、ファンの獲得にもつながる。例えば、窓越しに試合を観ながら料理やお酒を楽しめるレストランやバーのようなテナントが、スタジアムの中にあってもいい。そこで楽しんだ観客が、平日もスタジアムを訪れようとする。逆に、平日に来た一般客が試合のある日に来てみたい、と思うこともあるかもしれない。そうした相乗効果が生まれてくると思います。
このようなテーマパーク化したスタジアムを作り上げるには、公共の運動公園からは独立した施設であることが必要ですし、そうなると新たに建設する必要もある。商業施設の色を出すなら立地やアクセス条件も考えなければならない。そうなるとやはり自治体の協力というのもまた必ず必要になりますが、プロスポーツがビジネスの拡大や安定したビジネスを展開したいのなら、やはり考えなくてはいけない部分であることは間違いありません。
Numberの記事はMLBやプロ野球での事例ですが、サッカーでもレアル・マドリードやマンチェスター・ユナイテッドもスタジアムを所有し、ミュージアムを開くなどして商業施設としての取り組みは既にやっていること。前述の楽天や日本ハム、あるいはガンバ大阪の新スタジアムが、日本のスポーツビジネスにいい影響を与えてくれるといいな、と思います。