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体験に価値が置かれ、スポーツにVR導入必須の時代が来る

以前「サカチャン」を紹介した記事でVRに触れましたが、開幕が迫るリオデジャネイロ五輪でもVR映像が本格的に配信されますね。オリンピックで導入されるとなると業界標準になるのも近く、これからVRの導入が様々な分野で加速していくのでしょう。

 

「バーチャルリアリティー(VR)元年」――2016年には米Facebook社の傘下にあるOculus VR(オキュラスVR)社が3月にヘッドマウントディスプレー「Oculus Rift」の出荷を開始し、ソニーも10月にHMD「Playstation VR」の発売を予定するなど、VRが普及へと一歩踏み出す年...

 

エンターテインメントの価値は“所有”から“体験”へシフトしている

スポーツイノベイターズオンラインでも紹介されていますが、VRの技術自体は今がまさに、導入から普及へと移行していく段階です。その一方で技術は確かに進化し続けていて、既にVRライブ配信も可能なようで、トレーニングにもVRが使われ始めている。最先端を走るのはNFLで、日本では導入の「ど」の字もまだ聞こえてこないですが、うかうかしていると気付けばとんでもない遅れが出ていた、なんてことにもなりそうです。

 

このブログでは最近、スタジアムでのユーザー体験やらコネクテッドスタジアムやらとよく書いていますが、この根拠になっているのはエンターテインメントの価値が“所有”から“体験”へとシフトしてきているからなんですよね。体験がデザインできなければビジネスにならない、というような時代になってきている。

 

例を挙げると、それが最も顕著なのが音楽業界です。ダウンロード販売やYouTubeをはじめとする動画共有やストリーミングが普及したことで、音楽ソフトの売上は年々下がり続けています。それに対して伸びているのがライブ市場。音楽ソフトで落ちた売上金額を上回る成長をこの10年ほどで見せている。CDの整った音源よりも、生音や会場で覚える感情というものに、音楽ファンは価値を感じるようになってきているということです。

 

音楽関連会社が360度ビジネスへのシフトを加速している。レコード会社の「ワーナーミュージック・ジャパン」は、マネジメント業務を核とする新会社を設立した。音楽出版社のフジパシフィックミュージックも、昨年からアーティストのマネジメントを開始。…

 

VRの体験がスポーツ界を、ビジネスでも競技でも押し上げる

体験へシフトする傾向は当然、スポーツ界にも押し寄せてきている。スタジアムでの体験にどう価値を加えていくか、ということに主眼が置かれてここ数年発展してきているのが、コネクテッドスタジアムでありVR技術の利用であるということです。スポーツがエンターテインメント化しているアメリカでは、この傾向が特に顕著になっています。

 

NFLでクォーターバックの視点や選手入場の体験がVRコンテンツとして配信されていて、これまで選手しか経験することのできなかった視点も味わえるようになっている。スタジアムの観客席では得られない体験をVRが提供する、という段階まで進んできている。最新技術がまさに、ユーザー体験の水準を押し上げています。

 

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普及が加速していくVRがスポーツの体験を押し上げる。 (C) BagoGames

 

スタジアムがエンターテインメント空間になり、そこでの体験価値が上がればスタジアム観戦の価値が上がる。満員のスタジアムに入れない観客のためにテレビ放映が用意され、放映権ビジネスにも好影響が出る。こうしてビジネスの好循環もできあがっていく訳です。

 

VR技術が進化すればトレーニングにも活かされる。選手の能力が向上し、戦術性も上がって競技面もレベルが上がればそれが最大の観戦価値になる。そんな仕組み作りまで、NFLは進もうとしているということですね。

 

日本ではまだ事例もできないところですが、最先端は着実に前進している。VRがビジネス面でも競技面でもスポーツを押し上げるだろうことを考えれば、ここから数年で様々なスポーツにVR導入が必須というような時代がやって来そうですね。

 

この2016年はVR(Virtual Reality:仮想現実)元年だと言われているようで、その波がどうやらスポーツにもやってきているようです。  練習風景のVR動画を提供する「サカチャン」  この5月11日に公開されたばかりの「サカチャン」です。今までにもサッ...

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