サッカー

Jリーグの「秋春制」是非を考える (4)建前では経済メリットは得られない

ようやく4回目です。今回とあと1回で終わる予定なので、もう少しお付き合いくださればと思います。

 

・最適な開催時期は?

・天皇杯やナビスコカップはどうする?

・スタジアム側の努力は?

・経済面はどちらが有利か? ←今ココ

・秋春制はJリーグのため?日本代表のため?

 

経済面のメリットを唱えるのは秋春制支持の建前

これは最後の話にもつながってくることなのですが、秋春制にした上での経済面をどのように考えるか? というのが重要だと思っています。

 

経済面のメリットとしてよく挙げられるのが、日程面でプロ野球のクライマックスと重ならなくなることです。プロ野球は3月末に開幕して、11月にはシーズンが終了する。Jリーグの終盤戦と、プロ野球の日本シリーズの時期が重ならなくなるので、双方にとって集客等のメリットがある、というのが秋春制支持の主張です。

 

ただ、私はこの主張を信用していません。ここまでこのシリーズで述べてきたような、最適な開催時期、スタジアム設備の問題などを全く勘案していないからです。

 

秋春制になったところで、Jリーグの開催月が今と変わらなければ、プロ野球が開催していない時期にJリーグの試合を、なんていうことはできないのです。加えて、スタジアム設備が整っていなければ、プロ野球と重ならない時期でも集客が冷え込むのは自明の理。むしろ、Jリーグが5月閉幕になったとしても、その時期はプロ野球の交流戦と重なってしまっている。経済面云々というのは、完全に秋春制移行を推進するための建前ですね。

 

本当の経済メリットは移籍時期が合わせられることで得られる

では、秋春制にすることで得られる、経済面のメリットとは何でしょうか? それはおそらく、選手の獲得という面でしょう。

 

2010年ワールドカップでの日本代表の躍進以降、次々と日本人選手がヨーロッパのリーグへと活躍の場を移しています。宮市亮や宇佐美貴史のように、才能と将来性を買われて10代のうちに移籍したり、横浜FCユースからフライブルクへと移籍した木下康介のように高校卒業と同時に海を渡ったりと、若手の有望株も注目される時代になってきています。

 

日本代表クラスのスター選手や、若手のスター候補が軒並みヨーロッパへ移籍。ここで心配されているのはJリーグの空洞化の問題ですね。ヨーロッパとシーズンを合わせることで、この動きが加速する面もあるでしょう。ただ、逆も然りです。選手が出ていくだけではなく、ヨーロッパから選手を獲得するハードルが少し下がることになります。

 

Jリーグの開幕に合わせてヨーロッパから移籍しようとすると、シーズン途中でチームを離れる、あるいは1シーズン半稼働し続ける、という選手側の問題があります。これが解決できれば、ヨーロッパにいる日本代表選手や各国の代表クラスの選手と交渉する余地が出てきます。さすがに、今のJリーグの経済状況で各国スター級の選手は無理でしょうが、それでも実力者レベルには手が届くのでは、と思います。過去のJリーグで言えば、現ブラジル代表のフッキのような。

 

そうした選手を獲得して、Jリーグで活躍する。その選手を見たさに観客やファンが増える。これが秋春制最大の経済メリットではないでしょうか。

 

私が唱えるメリットや経済効果は詳しく検証した訳ではないので、こうしたメリットが見込めるから秋春制がいい、などとは言いません。ただ、筆者が言いたいのは、建前ではないメリットをファンやサポーターに提示してもらいたい、ということ。今、秋春制支持派が示しているのって、「とにかくヨーロッパにシーズンを合わせたい」という建前上のものでしかないんですよね。少なくとも私にはそう見えてしまう。

 

世界的なスタンダードには合わせる必要があると思いますが、ヨーロッパに合わせるのがJリーグにとって必ずしもハッピーかというと、それは違う。JリーグはJリーグのためになる進化を遂げていくことが求められらます。

 

Jリーグやファン・サポーターのためになるのは建前ではありません。建前ではない議論で、春秋制か秋春制かを検討していただきたいものです。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Twitter で

-サッカー