日本のワールドカップ出場から考える、サッカー文化の積み重ね
サッカー日本代表が、2014年に行われるワールドカップの出場を決めましたね。このタイミングではこれについて書かない訳にはいかないでしょう。
日本 W杯出場決定 豪州と引き分け | NHK NEWS WEB
引き分け以上でワールドカップ出場が決まる試合の終盤で1点ビハインド。その中でのPK。会場の6万人どころか、日本中の何千万人が見つめるという状況で、PKをど真ん中に蹴る。これは普通の人の精神ではできないことだと思います。
ワールドカップ出場を決めた日本代表を讃えたいのとともに、本田圭佑選手には脱帽するばかりですね。
ワールドカップに出るのは決して当たり前ではない
これで日本はワールドカップに5大会連続で出場。2010年南アフリカ大会でのベスト16進出以降、日本はワールドカップに出るのが目標ではなく、いかに本大会で勝つかを考えるチームになりました。先月でJリーグが20周年を迎えましたが、20年前では考えることができなかったことですね。
こうなると、もはやワールドカップに出るのは「当たり前」のようにも思えますが、僕は敢えて逆のことを言いたいと思います。日本がワールドカップに出るのは、全くもって当たり前などではないと。Jリーグが息吹を上げてから20年、日本サッカーは間違いなく次の時代へと移り変わる過程にいますが、当たり前なんて考えは捨てなければいけないと思っています。
日本が初めてワールドカップ予選に出たのが1954年。初出場を果たす1998年まで実に44年もかかっているのです。カズこと三浦知良選手がブラジルに渡った80年代は、ブラジルの地で日本人がボールを蹴っていれば笑われる時代だったと言われます。日本がワールドカップに出るのなんて夢のまた夢だった時代からの積み重ね、礎の上に、今の日本サッカーがあることを忘れてはいけないのです。
これから日本サッカーの中心にあるべきはJリーグ
僕は、日本サッカーにとってのワールドカップの価値を見直す時期に来ていると思っています。日本サッカー全体の底上げというのも一つの目的としてJリーグが生まれた訳ですが、それからの20年の日本サッカーは日本代表とワールドカップとともにあったと言っても間違いではないでしょう。日本代表の強化のためにJリーグが存在していたという側面も否定はできないでしょう。
ワールドカップが悪いのではなく、ワールドカップが日本サッカーのすべてでいいのか。そんなことを考える時期に来ているのではないでしょうか。
もちろんこれからも、日本代表は日本サッカーの顔として存在し続けます。しかし、これから地域密着の理念やスポーツ文化の振興を考えるとき、その中心になるべきはやはりJリーグです。今後の日本サッカーの中心にあるべきなのは、僕はJリーグだと思っています。Jリーグがより強い存在として文化を牽引しなくてはならない。
日本代表の強化も、ワールドカップに出られることも、決して当たり前などではなく、文化の積み重ねの延長線上にあることを認識すること。そうした様々な積み重ねの上にしか文化は存在し得ない。誕生から20年を越え、文化に対して果たすべきことを、Jリーグとして、日本サッカーとして考える時代に来ている。そんなタイミングで来年、サッカー王国と言われるブラジルでのワールドカップに出るというのも、何か意味があるのかもしれません。