スポーツ

甲子園に起きつつあるうねり 高野連の出す結論は?

2016/06/14

昨日9日(土)に開幕予定だった第96回全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)は、台風11号の影響で開幕を2日順延。いよいよ明日11日(月)に開幕ということになりました。開幕が2日遅れるというのは、長い歴史の中でも初めてのようですね。

 

台風が開幕甲子園直撃!史上初2日間順延 | nikkansports.com

 

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今年の夏の甲子園は、台風11号の影響により開幕が2日順延。大会中にもう1日順延することがあれば、決勝までの休養日がなくなる。

 

タイブレーク制は根本的な解決策ではないが、好転しかけている状況

このタイミングですが、昨年書いたエントリー2本を再掲したいと思います。

 

甲子園、インターハイ… “夏の風物詩”は常識ではない (2013/7/28)

全国大会は終着点? 若者を酷使する日本スポーツの“美学”を疑え (2013/8/26)

 

甲子園に限らず、日本の真夏に行われるスポーツは必ずしも常識ではない。スポーツの全国大会は終着点ではなく、若者たちの身体を酷使する場ではない。そんなことを昨年書いていました。この時の想いはもちろん今も変わっていません。それから一年経って再び甲子園について書きますが、状況はやや好転しかけているように思います。

 

最近になって、甲子園においてのタイブレーク制導入について高野連が加盟校にアンケートをとるという動きがあり、そこへダルビッシュ有投手や作家の乙武洋匡氏が反応するなど、プロ選手も関わった話になってきています。昨年の春の選抜で大会で772球を投げ抜いた安楽智大投手を擁する済美高が、地方大会で敗退したというのも話題になりましたし、近年はアメリカ・メジャーリーグでも多投による投手の故障が相次いでいることも影響していると思われます。

 

タイブレーク制が選手の体力的負担を減らす、根本的な解決策になるとは思わないのですが、“投げ過ぎ”や“過密日程”と長年批判されてきたことが、少しずつ解決へ向かおうとしていることは感じ取れます。今までずっと、高校球児たちに負担をかけていることを見過ごし、勝利も敗北もひたすらに美談へと歪曲されてきましたが、ようやくにして大きなうねりが起き始めようとしているのではないでしょうか。

 

日本のスポーツ環境は常識ではない 高野連に望むのは“結論を出すこと”

昨年も書いているのですが、日本がスポーツをやっている環境というのは常識ではないのです。前述の安楽投手は昨年の春の選抜大会後に肘を故障し、160キロ近くを記録していた豪速球は今も戻っていないと言われます。また、1991年の沖縄水産高・大野倫投手のように、疲労骨折を抱えながら投げ抜きはしたものの、その後二度とマウンドに上がれなくなったというケースもある。大野投手は下手すれば日常生活の中で右腕が使えなくなっていたかもしれない、とも聞きます。

 

消えた甲子園の夢と剛腕の将来 正木利和 | MSN産経ニュース

 

松坂大輔投手、和田毅投手、藤川球児投手のように、高校時代の投げ込みが遠因と思われる故障に悩まされる選手がいる。斎藤佑樹投手も一軍と二軍の狭間で苦しみ、田中将大投手の肘の怪我も多投が原因ではないかと懸念されています。実力がありながらも投げ過ぎが原因で満足にプレーできない、という“実績”が非常に多い。

 

甲子園を目指してトレーニングを重ねていれば、プロや大学へ進む道が開けることもある。それは一つ夢のある話ではあるのですが、甲子園を目指し、そのために身体に負担をかけ続けた結果待っているのが悲しい現実だとしたら。それはスポーツの正しくあるべき姿だとは思えません。

 

この議論で高野連に望むのは、きちんと結論を出して欲しいということ。議論が進まず時間が過ぎ、結論が曖昧なまま現状が維持されてしまうというのは、日本の文化ではよくあること。しかしそれではスポーツを志す若者たちのためにならない。最後の最後まで、誠意のある対応で結論を出して欲しいと思います。

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