Jリーグの「秋春制」是非を考える (1)最適な開催時期は?
2013/04/28
このブログで最初にスポーツについて考えるのは、やはりサッカーにしようと思います。その中でも、ここ最近また議論されているJリーグの「秋春制」について。
このテーマでは主に下記の5つの観点で考えてみたいと思います。1回では書ききれないので、何度かに分けます。
・最適な開催時期は?
・天皇杯やナビスコカップはどうする?
・スタジアム側の努力は?
・経済面はどちらが有利か?
・秋春制はJリーグのため?日本代表のため?
秋春制か、春秋制かの議論を見ていると気になるのが、Jリーグ、ひいては日本でのサッカーに適した開催時期がいつか、という議論が抜けていることです(議論はされているのかもしれないが、すっかり話題にはされていない)。プラスして、その適した開催時期の中での大会スケジュールについてです。
適切な開催時期はいつ?
賛成派の主張の中にあるのが、高温多湿の夏季を避けて公式戦を行えるということ。対して反対派は、北海道や東北地方の積雪期(11月〜2月)がインシーズンに当たってしまうため、試合の開催・トレーニング・観戦すべての面で適さない、という主張です。
高校サッカーを経験したり、今も社会人リーグで選手を続けていたりという自分の経験から分かりますが、まず日本の夏は間違いなく開催には適していません。過去にもJリーグの選手が練習中に熱中症にかかり、病院に運ばれたというケースが何度もありました。Jリーグでは6月後半から9月前半くらいまではすべてナイトゲームで開催されますが、それでも夜に大きく気温が下がる訳ではない。
しかも現代サッカーは選手にハードワークを課すスポーツになっているため、10年ほど前からトレーニングが身体に及ぼす影響というのが話題にもなっています。サッカーのハードワークと心疾患の関係は明確にはされていませんが、試合中に心臓発作を起こした例としては、マルク・ヴィヴィアン・フォエやアントニオ・プエルタ、日本でも松田直樹氏がトレーニング中の心臓疾患で亡くなりました。こうした選手たちはいずれも夏季に心疾患を起こしており、日本の夏に試合やトレーニングをするのはこのリスクを増大させている恐れがあります(試合中の心疾患としては、冬季に起こった例もあります)。
対して冬季はどうか? と考えると、これは積雪地方にとって切実な問題となります。下記にリンクする記事に詳しいのですが、現状の春秋制においてもシーズン直前の強化などで不利な面が生じているのです。そこに輪をかけて、積雪地方のクラブに負担を強いるのが秋春制だと言うこともできそうです。
進む秋春制へのシーズン移行。雪国クラブの負担を無視していいのか? | フットボールチャンネル
現在のスケジュールではJリーグは3月に開幕して5月にいったん中断。6月は代表に時間が割かれてナビスコカップが行われ、7月に再開して12月上旬に閉幕、というのが通例になってきています。主に試合が行われているのは3〜5月、7〜12月ということになりますが、本当にこれでいいのか? ということはもっと議論しなければいけません。
アジア・チャンピオンズリーグとの兼ね合いもありますが、4月開幕なども可能性として考えなければいけないでしょう。適切な開催時期(もっと言えば具体的な開催月)を決めるというのは、維持にしても移行にしても先に議論すべきです。
秋春制か、春秋制かではなく、大会スケジュールを先に考える必要がある
適切な開催時期の議論の次に必要なのは、天皇杯とナビスコカップも含めた大会スケジュールの整理です。
何年も前から天皇杯の開催時期も議論になっていますが、これは春秋制に存在する一つのひずみです。これは次回に詳しく書こうかと思いますが、元日決勝の伝統を重んじることで大会のクライマックスをJリーグの閉幕後に迎えてしまい、Jリーグのスケジュールを圧迫する要因になっているのは間違いありません。
大会スケジュールを整理し、リーグ戦の開催にどれだけの期間を使うことができ、選手にはどれだけの休養期間を確保できるのか。春秋制維持にしても、秋春制移行にしても、Jリーグ・天皇杯・ナビスコカップとすべての大会のスケジュールを今一度、見直す必要があると僕は思います。それがなければ、秋春制移行なんて議論しても意味がないとも。
こうした要因も整理しつつ、秋春か、春秋かを考えるべきだと思います。
ということで、今回はここまでにします。
次回は天皇杯やナビスコカップについて書こうと思います。
それではまた今度。