FC今治に学ぶスポーツビジネスの原点
日本IBMが運営する「Mugendai」というメディアがあるのですが、こちらにFC今治オーナーの岡田武史氏のインタビューが載っていました。記事が出て2週間以上経っているのですが、最近考えていることと符合するところがあったので紹介します。
スポーツビジネスの原点はスタジアムを満員にすること
最も共感したのは、ピッチ外のことについて話が及んだ部分ですね。スタジアムを満員にすることがスポーツビジネスの原点である、ということに100パーセント共感します。
スポーツビジネスの原点は、とにかくスタジアムを満員にすること。大きさに関係なく、満員にしてチケットが手に入らない状況をつくることからスタートすると思っています。
このブログではスタジアムや周辺でのビジネスの重要性を何度も書いてきていますが、それを裏付けしてもらえたような内容です。引用した部分の前後で「優れた機能と娯楽性の高いスタジアムが必要」ということも岡田氏が語っていますが、スタジアムは人が楽しむための場所であって、観戦の価値が上がっていかなければならないということですね。
これに続く話で、副会長に就任した日本サッカー協会の“企業文化を変えていく”ということにも触れていますが、この部分とスタジアムの話とは根底にある考えが同じです。顧客の問題を解決する、満足度を上げることを仕事にするという言い方をしていますが、顧客(サッカーをする人や観る人)の目線に立つということです。
クラブチームも企業なので当たり前と言えばそうですが、顧客あってこその企業です。顧客を満足させて繰り返しスタジアムに来てもらうことこそがスポーツビジネスの原点ということですね。
どうやったら集客できて、楽しんでもらえるかを起点にしてスタジアムを考える
その原点のために必要なのは、どれだけの人数を収容できるかというような論理ではない。適切な規模と収容人数で運営し、スタジアムが楽しい場所であると認識してもらうことです。これができればスタジアムのビジネスにも、放映権料などの周辺のビジネスにも好影響が出る。それが岡田氏の言う“満員でチケットが手に入らない状況”から生まれていくのだと思います。
まず満員に近付けるためには一体どんなマーケティングが必要なのか? スタジアムに来てもらった人にはどんな風に楽しんでもらうのか? こうしたことを考えていくのが本来のスポーツビジネスであり、企業体としては当たり前の姿ですね。
日本のスポーツ、特にJリーグにおいてはスポンサーについてもらうところからビジネスが始まっていて、スポンサーのもらったお金を集客のために使う、という本来の姿から逆転した状態になってしまっているところが多い。この構図がJリーグの閉塞感を生んでいるところは大きいと思っています。
どうやったらスタジアムに足を運んでもらえるのか。どうやったらスタジアムで楽しんでもらえるのか。多くのJリーグクラブがやれてこなかったところかもしれませんが、来る人の目線を起点にしてスタジアムを考える、ということが今必要なのだと思います。